がん治療の救世主となるか、「ホウ素中性子捕捉療法」
■ 「世界初、日本初をがんの領域で行う」 ─ 嘉山理事長
[嘉山孝正・国立がん研究センター理事長]
なぜ、これが最初になったかと言うと、歴史的なものがございます。私自身は脳神経外科の専門医でございますが、実はもう1つの武器として放射線を従来からずっとやっております。
人間のがんが低酸素であることを世界で最初に証明したのは私でございます。その関係で放射線の関係も強く、(株式会社CICS代表取締役社長の)今堀先生を学会等々で従来から知っていたわけです。
皆さんご存知のように、日本は全てのがんのわずか30%しか放射線治療を受けていない。ただ、間違ってはいけないのですが日本のがんの成績は世界一です。
世界一ですが、弱点があるとすれば、日本は放射線の受診率が3割、アメリカが6割という差がある。それから、抗がん剤の専門医が少ない。この2つが弱点だったわけですが、そのうちの1つを大きく変革することができて、国民のための医療を推進することができると考えております。
今回、機械はですね、(共同研究契約を)調印します今堀社長から寄附していただくということです。値段はまあ、あってないようなものですが......。
「もし売るとすれば200億円前後だろう」とも言われているような機械を国立がん研究センターに寄附していただいて、国民の健康のために寄与するということになります。世界初で、日本から発進する最初の医療機器の開拓をこれからするということでございます。
従って、「独立行政法人は国民のために寄与しなさい」という中期計画を(厚労省から)与えられたわけですが、その1つが大きく推進できると私自身は思っています。
本日は、様々なジャーナリストの皆さんにいろんな質問をしていただいて、それにお応えできるかどうかをまた確認したいと思っております。以上でございます。
今日の意義としては、「世界初、日本初ということをがんの領域で行う」ということでございます。
[加藤雅志・企画戦略室副室長]
それでは、世界初となる病院設置型加速器による「ホウ素中性子捕捉療法」(BNCT)の確立について、国立がん研究センター中央病院・放射線治療科の伊丹純よりご説明を申し上げます。よろしくお願いいたします。
【目次】
P2 → 「標準的医療ではなく先進医療をやる」 ─ 嘉山理事長
P3 → 「世界初、日本初をがんの領域で行う」 ─ 嘉山理事長
P4 → 「病院設置型、加速器、BNCTで世界初」 ─ 伊丹科長
P5 → 「ホウ素を集積したがん細胞だけ死滅」 ─ 伊丹科長
P6 → 「病院設置型加速器の最先端として確立したい」 ─ 伊丹科長
P7 → 「我が国初の技術として世界の市場に」 ─ 伊丹科長
P8 → 「対象はホウ素が集積する悪性腫瘍」 ─ 伊丹科長
P9 → 「国立がん研究センター以外ではできない」 ─ 伊丹科長
P10 → 「バラバラを横つなぎにした第一歩の研究成果」 ─ 嘉山理事長
- 前の記事あなたにオーダーメイド医療を⑪
- 次の記事あなたにオーダーメイド医療を⑫(最終回)