イレッサ和解勧告で、国立がん研究センターが緊急会見
■ 薬剤性急性肺障害・間質性肺炎について
[嘉山孝正・国立がん研究センター理事長]
今、お話ししたように、私どもの見解は薬害ではなく副作用であるということです。その副作用も、販売時から間質性肺炎のことについて十分に知っておりましたし、認識してその治療に当たってきたわけです。
途中でリスクファクターも分かりましたし、それを世界に発信し、世界では、日本以外ではそういうことが防げたという事実がございます。
それで、これから(別添)資料について説明させていただきますが......。カラーの(資料)「薬剤性急性肺障害・間質性肺炎とは」について、田村先生から......、肺の専門家でございますから、説明していただきたいと思います。田村先生、よろしくお願いいたします。
[田村友秀・中央病院呼吸器腫瘍科呼吸器内科科長]
薬剤性急性肺障害・間質性肺炎について説明させていただきます。薬剤性急性肺障害・間質性肺炎とは、薬剤により引き起こされる肺胞隔壁を主体とする炎症です。
肺胞隔壁とは......、肺の末梢は空気を交換する袋のようになっています。これを肺胞と言います。肺胞と肺胞の間の隔壁......、血管が走ったり、(肺)実質のある部分に炎症を起こし、このせいで肺胞のガス交換(機能)......、空気から酸素を血液に取り込む機能が障害されることになります。
このような肺障害の発生機序については不明な点が多いですが、薬剤やその代謝物による直接の肺の組織の障害やアレルギー、免疫反応が関与すると言われています。
このような薬剤性の障害は、抗がん剤のほか抗生剤や漢方など様々な薬剤で起こることが報告されています。
また、このような肺障害の症状で代表的なものは、発熱、空咳、進んできますと息切れや呼吸困難などであります。そして、重篤な場合には命に関わること、致死的になることもあり得ます。
以上、急性肺障害・間質性肺炎について説明させていただきました。
【目次】
P2 → 国立がん研究センターの見解
P3 → 薬剤性急性肺障害・間質性肺炎について
P4 → 「副作用を誰かの責任、医療が成り立たない」 ─ 嘉山理事長
P5 → 「裁判所の判断は自然界を全く理解していない」 ─ 嘉山理事長
P6 → 「医療、医学、自然科学が成り立たなくなる」 ─ 嘉山理事長
P7 → 「私たちは決して対立軸ではない」 ─ 片木代表
P8 → 「リスクと利益を知った上で患者は闘っている」 ─ 天野理事長
P9 → 「いかに国民が納得する制度をつくるか」 ─ 嘉山理事長