イレッサ和解勧告で、国立がん研究センターが緊急会見
■ 「裁判所の判断は自然界を理解していない」 ─ 嘉山理事長
[嘉山孝正・国立がん研究センター理事長]
新聞報道によりますと、(添付文書「重大な副作用」欄の記載順で)間質性肺炎が何番目だとか番号が遅いとか......。そんなことはですね、私どもは1番に書いてあるから......、1番が一番頻度が高いという順番は一切ありません。
カテゴリーで書いてあるので、例えば全体......、血液に関係するものを1番目に書くとか、そういうことですので、いろんな臓器は順番が後になるんですね。
従いまして、これ(資料)をご覧になりますと、イレッサは4つ重篤な副作用が書いてありますが、4番目だと......。これは4番目だから注意しなくていいよ、ということではなくて、私ども医療人としてはどんな順番で書いてあっても同じように、対等に「重大な副作用」として扱う。
他のお薬でも、例えばアムルビシンは3つの「重大な副作用」があるうちの2番目とか......。それから、セファゾリンは普通の抗生物質です。ですから、皆さんがちょっとばい菌を防ぐために普通に使う抗菌剤ですが、9つ「重大な副作用」があるうちの8番目に書いてあるということで、順番ではないわけです。
従って、裁判所の判断は自然界というか、こういうことを全く理解していない判断だと私は考え、医療が崩壊する。私は外科医ですので......。
例えば、「重大な副作用」というのを手術における重大な併発症、合併症と考えると、手術をして、危険性があるということを言って......。もちろん、インフォームド・コンセントを取る時にこの副作用のお話はします。
手術をして、それで何か出た場合に、それで誰かに責任を押し付けるかといえば、そういうことはないわけですね。従いまして、イレッサのようなことをやってしまいますと、プリンシプル、原理でやってしまいますと、手術はできない。
つまり、医療というものができないということになりますので、医療を受けて助かる患者さんの人権、人格が失われるということが言えると考えています。
ただし、そのような受認の被害に遭われた方々にはやっぱり救済制度をつくるべきであって、議員の方々にお願いしたことは、この問題で、いろんな関係をしている議員はですね......。
どちらが良いとか悪いとかというのは......、副作用ですので、これはもう、誰も予測はできなかったわけですね、最初は。従って、救済制度を考えた方がいい。
【目次】
P2 → 国立がん研究センターの見解
P3 → 薬剤性急性肺障害・間質性肺炎について
P4 → 「副作用を誰かの責任、医療が成り立たない」 ─ 嘉山理事長
P5 → 「裁判所の判断は自然界を全く理解していない」 ─ 嘉山理事長
P6 → 「医療、医学、自然科学が成り立たなくなる」 ─ 嘉山理事長
P7 → 「私たちは決して対立軸ではない」 ─ 片木代表
P8 → 「リスクと利益を知った上で患者は闘っている」 ─ 天野理事長
P9 → 「いかに国民が納得する制度をつくるか」 ─ 嘉山理事長