歯科で進む格差医療、いずれ医科も......?
■ 「点数が上がっても患者さんが来ない」 ─ 宇佐美副会長
[杉山正隆・保団連理事]
「歯科医療に関する(1万人)市民アンケート結果」について宇佐美先生からお願いいたします。
[宇佐美宏・保団連副会長、歯科代表]
それでは説明いたします。
「歯科がひどい」ということで一番大きなニュースになったのは、週刊東洋経済の「セレブ医院からガード下まで、(5人に1人はワーキングプア)」という特集だったと思います。
マスコミ懇談会はかなり前から始めたのですが、当初はまだまだ「歯科医はベンツに乗ってるんじゃないの?」という意見がかなりあった。
ようやく、そうではないんだということが分かってきて、歯科の状況が厳しいことを最初に大きく取り上げてくれたのが週刊東洋経済だったと思いますけれども......。
それ以後ですね、じわじわといろんな所からそういう発信がなされて、ようやく歯科の実態がつまびらかになったということです。
現在の状況としては、ご承知だと思いますけれども、その実態を反映してですね、私立歯科大学の定員割れの問題等も、マスコミの方は十分ご承知だと思います。
例えば、ある大学では自分の名前さえ書ければ通っちゃうみたいなね......。今、そんなひどい実態があって......。
先ほど、川口浩(衆議院)議員ともお話しをしてきて、あの人、文科省の関係もやっているんですが、かなり抜本的な改革をしないといけないということをおっしゃっていましたけれども、そんな状況でございます。
そういう中で、昨年の診療報酬改定で(本体部分の改定率の内訳は)、歯科(プラス)2.09%(医科1.74%、調剤0.52%)という......。まあ、技術に着目してという......。日本歯科医師会では、かなり大きな数字を頂いて.......ということで......。
まあ確かに、全体から見れば大きな数字ではあったのですが、残念ながらですね、どうも蓋を開けてみたところ、いつまで経っても2.09%に到達しないという状況で、今、大体1.2%ぐらいですよね。
実は、その前の(平成20年度)改定では、(プラス)0.42%(医科、0.17%、調剤0.38%)で、「0.42」という数字をめぐって......。その後、意外に歯科の点数が上がったものですから、そこにいらっしゃる朝日新聞から、かなり......。どこかでごまかしをやったんじゃないか、という意見が出されまして......。杉山先生と行って朝日新聞の方とかなり激論を交わしましたけれども......。
歯科の場合にはですね、従来はパーセンテージが決まった後、1年目ぐらいは結構上がるんです。で、2年目ぐらいになると下がってくる、このパターンの繰り返しがあった。
確かに、2008年の(改定率プラス)0.42%の時はですね、1年目は上がったんです。その結果は明らかになっていて......。
例えば、今の歯科医療のシェアは全体の7.2%なんです。にもかかわらず、09年の時は7.5%まで戻ったんです。ところが歯科の場合は、2年目からジワジワと下がってきて、最終的に昨年のデータではマイナスになって、結局7.2%になった。
だから......。7.3%、7.5%、結局7.2%になってしまった。歯科の場合にはそういう状況がある。そういう中で、例えば点数が上がっても実際に患者さんが来ないというケースが非常に多い。
【目次】
P2 → 「大企業にとって大きな政府、国民にとって小さな政府」 ─ 住江会長
P3 → 「点数が上がっても患者さんが来ない」 ─ 宇佐美副会長
P4 → 「経済格差が受診に影響している」 ─ 宇佐美副会長
P5 → 「医療の高度化が総医療費を上げている」 ─ 竹崎副会長
P6 → 「当たり前の治療が保険に入っていない」 ─ 杉山理事
P7 → 「高い点数を抑制する医療政策」 ─ 宇佐美副会長
P8 → 「患者の窓口負担軽減が第一要求だが......」 ─ 竹崎副会長