歯科で進む格差医療、いずれ医科も......?
■ 「当たり前の治療が保険に入っていない」 ─ 杉山理事
[杉山正隆・保団連理事]
私は毎日新聞の記者をやっていて、それから歯医者になったわけですが、歯医者になって一番最初に驚いたのは、新卒で免許を取ってすぐの先生でも、誰でもできる治療が保険でできないことです。
例えば、前歯の右3本左3本......、上下で12本は白いやつが認められるけれども、その奥は自動的に銀になる。これは、歯学部でこんなことをやったら卒業させてもらえないですよ。(中略)
決められた材質しか使えない。(中略)やれないことが圧倒的に多いんです。これは駄目、あれは駄目......。(中略)難しい治療をさせてくれとか、儲かる治療をさせてくれという話ではなくて、ごくごく当たり前の治療が歯科では保険に入っていなくて......。
この10年間で制限が厳しくなっているんですね。(中略)
[竹崎三立・保団連副会長]
(前略)例えば、医科の場合は昨年の診療報酬改定で、(難易度の高い)手術(点数)が大変上がりました。500床を超えているような大病院で、外科系(中心)の所は間違いなく上がったんですね。
ところが歯科の場合は、最も一般的な、基本的な技術料はそんなに上がっていないわけです。そうすると、平均では上がっているんだけれども......、全然上がっていない。ないしは、いろんな書類とか条件が加わることで診療報酬の請求ができず、マイナスになる所も相当あるわけです。(中略)
「うちは全然上がってないよ」という所が一杯あることをトータルにどう評価するかということです。高度先進医療の所は点数がバーンと上がったんだけれども、請求件数は大変少ないから総合的な費用としてはそれ程のものではない。
その辺のことも評価して......。特に中小の診療所、病院の基本的な技術料をまず大切にしていきながら、さらに高度医療の点数をどうするのかという議論にしないと......。(中略)
【目次】
P2 → 「大企業にとって大きな政府、国民にとって小さな政府」 ─ 住江会長
P3 → 「点数が上がっても患者さんが来ない」 ─ 宇佐美副会長
P4 → 「経済格差が受診に影響している」 ─ 宇佐美副会長
P5 → 「医療の高度化が総医療費を上げている」 ─ 竹崎副会長
P6 → 「当たり前の治療が保険に入っていない」 ─ 杉山理事
P7 → 「高い点数を抑制する医療政策」 ─ 宇佐美副会長
P8 → 「患者の窓口負担軽減が第一要求だが......」 ─ 竹崎副会長