村重直子の眼17 小田知宏・発達わんぱく会理事長(下)
村重
「日本だけではなくて、世界中から坂本竜馬をたくさん育てていただきたいですね」
小田
「坂本竜馬は本当にすごいですよね。あの時代にああいう発想が出るというのは普通じゃない」
村重
「その時代の既存の慣習とか当たり前のルールみたいなものに縛られない、自由な発想ですよね」
小田
「そういう子どもたちを今は潰してしまいがち、人と同じがいいんだという世の中なので。たまたま2日前に海野健先生という小児科の先生の勉強会があって、その先生とあるお母さんの会話について双方から聴いたんです。お母さんは、お子さんが年長さんで来年小学校に入るんですけど、おねしょでおむつが取れなかったりとか、偏食が激しくて与えられたものを食べることができないという所が心配で心配で仕方ないという話をしたらしいんです。そうしたら海野先生が言ったのは、小学校におしっこをしに行くんですか、給食を食べに行くんですか、違うでしょ、と。勉強するためだし、友達と遊ぶためだし、社会を知るするために行くわけで、いいじゃない、おむつだって給食を食べられなくったって。そういうことを心配するより、もっと得意なことを学ぼうとか小学校に行けるとかプラスの方に考えていったら、という話で。いやあ、そうだよなあと。たしかに目の前におむつの外れてない子がいたら、小学校なのに大丈夫なんだろうかと思っちゃうけど、それが坂本竜馬を潰してしまう発想で。いいじゃないと」
村重
「そう言われてみると囚われてますね」
小田
「囚われてますよね。おむつで小学校というのはマズいだろうというのを当然のように思うんですけど、それが子どもたちを潰しているとハっと気づかされたんですね」