医療政策を決めるのは誰?
■ 「同じことを繰り返して進歩がない会議」 ─ 患者団体幹部
[海辺陽子委員(NPO法人「がんと共に生きる会」副理事長)]
えっと......。今のお話に関連すると言うか、私、この資料を受け取って、まず資料の1─1(医療提供体制の改革の検討の方向性に関するこれまでの主な議論・意見)の題名を見た時にですね......。(笑い)
私......、「医療提供体制の改革の検討の方向性に関する」っていう、この見出しを見た時に意味が分からないなっていいますか......。(笑い)
▼ 話しながら自分でゲラゲラ笑っているが、委員らは無表情で見つめている。
なんか要するに、こう......、これまで私、何回も申し上げたかと思うんですけれども、なんかこう、おんなじよーなことを毎回毎回、結局繰り返していて進歩がないって言いますか......。
▼ そういう会議。記者も期待していない。
第14回の時に配られた関連資料の中に、もう平成19年かなんかに出した、これまでの議論を踏まえた整理の......、あの、(厚労省の)「医療施設体系のあり方に関する検討会」っていうのがあって......。
(語気を強めて......というか元々語気が荒い)そこでっ、医療施設体系の在り方についてもう検討がなされていて、その報告書も踏まえた上でここの会議があるはずなのに!
まだ、改革の検討を、要するに改革の検討をするかどうかを検討する、その方向性を決めようかどうしようかみたいな会議だって言うんだったら、そんなのもう、待ってられないっていう......。
▼ キンキンした声が室内に突き刺さる。そういえば私の妻も、5歳の子どもをこんなふうにキンキン怒鳴って叱っている。
そういう、いろんな国民のニーズとかがあるから頭を飛び越し始めたっていうことをもう少し真剣に反省しなきゃいけないんじゃないかなって、私は思うんですけど!
▼ 天下の日本医師会副会長の前でこれだけ言える人は貴重な存在だ、という見方もできる。
要するに、先生方のご意見がきちんとまとまって1つになっていかないからこそ、いつまで経っても改革の検討をしたり、検討会ばっかり立ち上がっているっていう現状がやっぱりあって、そのように国民の目に映ってしまっているっていうことを考えた上で、ご議論いただくということを考えないと!
▼ それはおっしゃる通り。
こんなわけの分からないテーマの紙を出されるようなことが繰り返されていたら、ここの部会はやっぱり意味がないんだろうなって......(笑い)......思われてしまうだろうなって思いますんで......。
ほんと、そこら辺に関しては......、あの......、どういったことを国民に対して見せていくのかっていうことを意識した会議の運営をしていかないと......。(再び笑うが、中川委員らはムッとした表情。座長はそっぽを向いて目を合わせない)
この会議自体、やっぱり無駄なんじゃないかなっていう風に思われつつあるんじゃないかなって感じます。以上です。
▼ 気まずい空気がたっぷり流れているのに、そんなことお構いなしにキンキン声でガンガンまくしたてた。小心者の私には真似できない。
(邉見委員、中川委員が挙手)
[中川俊男委員(日本医師会副会長、前中医協委員)]
あの、すんません......。
[齋藤英彦部会長(名古屋セントラル病院院長)]
はい。
[中川俊男委員(日本医師会副会長、前中医協委員)]
ちょっと今、論点がズレたような気がしました。
(西澤、邉見委員、座長ら、一斉に笑い)
まあ、あえて申し上げると、今、海辺委員がおっしゃった......。この医療部会の議論が歯がゆいとか、もの足りないから政府でこういういろんな会議をつくって一気にやってしまうんだということでは(なく)......。
国民の目にもそう映るから、そういう風になってしまうんだっていうことは、ちょっと違うんではないかと私は思います。
▼ いや、違っていない。
政治的な判断でこういう進め方をしているってことに対して、医療部会で何らかの声明を出したらどうですかと皆さんにおききしているわけで......。
その辺のご意見を伺いたいと思います。
(邉見委員が挙手)
【目次】
P2 → 「説明は簡潔にお願いします」 ─ 齋藤部会長
P3 → 「短く終わらせるつもりでしたが」 ─ 厚労省
P4 → 「医療部会の役割を明らかにして」 ─ 西澤委員
P5 → 「医療部会として声明を政府に出すべき」 ─ 日医副会長
P6 → 「同じことを繰り返して進歩がない会議」 ─ 患者団体幹部
P7 → 「ロシアや北朝鮮と同じようになってしまう」 ─ 全自病会長
P8 → 「現場を知っている皆さんの意見を」 ─ 元日経幹部
P9 → 「医師の国家試験が難しすぎる」 ─ 大学教授