「現場の声を大事に」 ─ 日本看護協会の新会長
■ 画一化ではなくて多様性でケアをしていく
[坂本すが・日本看護協会会長]
今回の総会でもいろんな議論がされましたが、特定看護師の法制化、制度化につきましては、日本看護協会は法制化、制度化ということで、仮称の特定看護師については積極的に引き受けていくということも総会の中で承認されましたので、これを続けて行っていきたいというふうに思っております。
特定看護師につきましては、詳しいことはまたいろんな所でお話しできると思いますが、1つは国民のニーズ。これを1番の意味と言いますか、特定看護師をこれから拡大していくとかそういうことがあるときには......
「何で」「なぜこんなことが」というふうなことがよく総会の中でも言われましたが、基本的には国民のニーズ。これから超高齢化・多種社会を担っていくときには、今までのような看護の在り方、それから他の職種の在り方だけでは担っていけない。
それはなぜかと言うと、少子化だからです。超高齢化社会のたくさんの人を抱えて、少ない人数で支えていくためにはチームと、それから業務役割拡大、この2つで担っていかざるを得ない。これが日本の医療の在り方であります。
今までと同じような医療提供体制では駄目だというふうに思っております。そういう意味では看護職がどのようなことをしていくかということを議論させていただき、役割を、国民のニーズがあるならばどんどん積極的にそれを担っていくという考え方であります。
看護師が......、そういう仕事が、看護という仕事がなくなるとか、それから看護職同士でそういう仕事をたくさん増やすべきではないとか、いろんな議論がありますが、私の考え方は国民のニーズがあるならば看護職は担っていく、そういう考え方であります。
そのためにはどういう仕事をするか、ということはこれから積極的に議論していきます。していきますが、基本的には......
じゃ、「何でも担っていけばいいか」ということではありません。安全であること、それが一番。それから患者さんから信頼されるということ。それから、もし特定看護師・仮称ということが創設されるならば、一緒に働く仲間からも信頼されるということ。そういうことをきちっとやっていきながら受けていくというスタンスであります。
そして、総会の中でもよく出ましたけども、「たくさんのそういう能力のある人をつくっていくんですか」、「看護職は看護職ということで引き受けていけばいいんじゃないですか」という議論もありましたが、私はそれに対しては多様性ということを重視しております。
1つの看護職ということだけではなくて、専門看護師、認定看護師が大変質を上げることに貢献してきました。そういう意味では、看護職の能力は看護職プラス、いろんな能力を持っていく、スキルを持っていくということが大事だというふうに思っておりますので、画一化ではなくて多様性でケアをしていくということを考えております。
その多様性の中のメインになる、キーパーソンになるのは誰かと申しますと、24時間、ジェネラリストとして患者さんのそばにいつもいてケアをしていくナースが中心になります。
そして、必要なところにおきましては、専門看護師、認定看護師、特定看護師等が、それから医師やコメディカル、いろんな職種の方たちが補完していくという形で医療をやっていくべきだと考えておりますので、看護師は1人の看護師を見て「看護職」というふうに見ていくのではなくて、多様性のスキルを持っていくということを私自身は必要だというふうに考えております。
それから看護教育についてであります、次は......。
2009年の保助看法(保健師助産師看護師法)の改正に基づいて、看護基礎教育の大学化、保健師・助産師教育の大学院化を推進します。新人看護職員の研修制度を含めて、看護職のキャリアパスの支援を充実させます。
これはなぜかと申しますと、先ほど一番最初にお話ししましたように、看護職は専門職としてのやりがい、その、自分が選んだ職業のやりがいがなければ辞めていく可能性が出てきます。
それは絶えずですね、看護職が自分のスキルを磨いていくためのキャリアパスというものに対しては積極的につくり上げていきたいというふうに思っております。
【目次】
P2 → 1つひとつ形にしていく看護協会でありたい
P3 → 労働条件、労働環境の整備が重点課題
P4 → 中堅看護師が大変疲弊している
P5 → 画一化ではなくて多様性でケアをしていく
P6 → 震災復興支援はニーズ変化を察知しながら
P7 → 日本看護連盟と協働していくスタンスで
P8 → 現場の声を大事にしていきたい