自治体病院より見た医師不足の要因と対策
■ 長崎県の医療体制の在り方
【長崎県病院企業団企業長】
それから、下のスライドでございます。
平成18年7月28日、矢崎委員会の結論、病院勤務医の勤務環境の改善なくしては、また病院と診療所の役割関係を整理しなければ、単にマクロの医師数は充実するとしても、将来にわたって国民の求める質の高い医療を安定的に供給することは困難であるというふうに出ています。
全くこのとおりの意識の中で、平成16年から長崎県では、この改革を続けてきたわけでございます。
ただ、この矢崎結論の中で、平成19年12月に総務省が公立病院改革ガイドラインを示しまして、都道府県の公立病院改革プランを示し、再編ネットワーク化と経営形態の見直しということで、これで非常に進んできたというふうに私は思っています。
これは5年以内というふうに書いてありますので、平成25年には完成しなければならないところでございます。
そこで、このスライドでございますけれども、長崎県では基本計画をつくりまして、人口50万人に1カ所、3基幹病院を置きまして、その基幹病院に救命救急センター医師養成機能を完備した基幹病院をつくる。
その次に、2番目として二次医療圏に1カ所ずつの公的地域医療の確立を図る拠点を起き、それから、3番目は独自でございますけど、6人未満の施設は診療所化とありますけど、実際は3人未満の病院は診療所化して、医師の勤務環境を改善するということを決めたわけでございます。
これによりまして、何も医師数が浮くわけでございませんで、ここは旧態依然として昔の「おらが病院」があるわけでございますけど、そういうところを地域中核病院にいたしまして、医師をそこにまとめまして診療所化したら、そこに派遣するという格好をとって、ネットワーク化を図っていったわけでございます。
12ページ目をお開きいただきたいと思います。最後のページでございます。
これ、ちょっと見づらい表で恐縮でございますけれども、最後に黄色い1行がございますけど、そこを見ていただきたいと思います。25の自治体病院を平成26年までに13病院へ編成いたします。
ただ、既に6病院が診療所化になり、4病院が2病院へ新築統合中でございます。残る5病院の改革が今進行中で、体系化を図っていくということでございます。
まとめの中でも申し上げましたように、最後のスライドが示しているとおりでございまして、まずは受入体制をしっかりしないと、今のような機能が分化してない中で医師を増やしても、先ほどのCグループのような感じの医師のぼやけた増やし方といいますか、機能が充実しないような増やし方におさまっていってしまうのではないかというふうに感じています。以上です。
▼ 質疑応答は議事録を参照。
【目次】
P2 → 医師が多い県、少ない県
P3 → 県別医師数と患者数の相関
P4 → 県別医師数と大規模病院
P5 → 長崎県は医師偏在の典型
P6 → 長崎県の医療圏別医師増減数
P7 → 医師偏在の理由
P8 → 長崎県の医学修学生制度
P9 → 地域枠(義務年限)養成医の問題
P10 → 医学奨学金全額返還の時期、理由等
P11 → 長崎県の医療体制の在り方
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