東日本大震災と東北大学医学部定員増計画
■ 定員増計画の背景
【山本雅之氏(東北大学大学院医学系研究科長・医学部長)】
次をお願いします。人口当たりの医師数というのを見てみますと、東日本で医師数が足りないわけです。
人口急増地帯の茨城や埼玉、千葉というところ、それから中京圏を除くと、東北地方はやっぱり全国平均よりも医師数がかなり低いのです。
次をお願いします。
それで、どれくらい足りないかというので、少し計算をしてみたのですけれども、東北地方の人口は大体1,077万。これを日本の総人口で割りますと、大体人口は8.4%です。
医学部定員数は23年度のデータで計算しますと8,923人で、これに0.84を掛けますと、750人ほどの定員があると、東北地方は日本の平均的になるだろうと。
それで現行の医学部定員は730人ですので、20人足りないので、今回私どもが20人増やしたらちょうどいいぐらいになるかなというところも、こんな計算から出てきます。
ただ、これで無視していけないのは、私どもが養成した医学部の学生というのは、マッチングをするとまず間違いなくある割合で、首都圏の方に行きますので、実際にはこれは表面的な数字で、もっとずっと足りないということを申し上げたいと思います。
次をお願いします。それで、地域医療の充足について何が一番大切かということを調べてみました。
艮陵協議会という組織があります。これは私どもの先輩がつくった病院を中心に、東北地方の基幹病院が100病院ほど加盟しています。
52病院からアンケートの結果をいただいたのですけれども、これをみますと、一番地域医療にとって必要なのは医学部の定員増、医師数増加をやってくれというのが、この人たちの願いであるという形で出ております。
【目次】
P2 → 東日本大震災の直後
P3 → 東北大学医学系研究科の復興計画案
P4 → 地域医療の復旧から復興へ
P5 → 東北大学医学系研究科の取組
P6 → 震災復興と入学定員増
P7 → 医師・医療系職業人の育成
P8 → 東北大学医学部卒業生数
P9 → 東北大学医学系研究科における教育
P10 → 東北大学医学部医学科の定員増計画
P11 → 定員増計画の背景
P12 → 研修医マッチング
P13 → 医学部の認証問題
P14 → 災害に関する教育
P15 → まとめ
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