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ニュース〜医療の今がわかる

東日本大震災と東北大学医学部定員増計画

■ 研修医マッチング
 

【山本雅之氏(東北大学大学院医学系研究科長・医学部長)】
 次をお願いします。それで、私どもも対応しなければいけないというので、東北大の医学部は順次定員増を図ってまいりました。2009年の100名から2011年度は120名にまで増やして、主要国立大学の中では一番数の多い大学になっています。

山本雅之先生資料2-05.jpg

 それでその人たちが東北地方に残ってほしい、宮城県の奨学金を受けてほしいというので、これは村井知事が医学部の教室に来て、今年の1月、震災のちょっと前ですけれども、宮城県で一緒に医者をやってくれという説明会をしたときの写真です。

 次をお願いします。それで、こういうことをやっていたときに、少し興味深いデータに突き当たりました。

山本雅之先生資料2-06.jpg

 私どもの医学部に東北地方から入学してくる学生は、大体入学者総数の30%です。ところが、卒業するときに東北地方の研修病院とマッチした人が65%。

 首都圏に出たのですけれども、初期研修が終わって帰ってくる人まで入れると、70%強の私どもの卒業生が、仙台を中心に東北地方で仕事をしています。

 こう考えてみますと、私どもの医学部定員を増やすことが、東北地方で働く医者の数を増やすのに、一番力があるんではないのかなと考えています。

 次をお願いします。それで先ほど簡単に、研修医のマッチング制度のことを申し上げました。

山本雅之先生資料2-07.jpg

 これは今、厚労省の方でも見直しを始めたというのを、先日の国立大学医学部長会議でお伺いしたのですけれども、卒業生が8,000人しかいないところに募集定員が1万人あります。

 そうすると、都市部の5,000人の枠は全部埋まりますけれども、地方の5,000人の枠は3,000人しかマッチしないということで、自動的に2,000人足りないことになります。

 背景には、若手医師にとっての都市部の医療の魅力や震災風評、こういうこともあるでしょう。宮城県のデータですと72%ほどの充足率ですけれども、これを東北地方のデータにしてみますと、50%ぐらいしか充足していませんので、こういう点で非常にアンバランスが出ていて、ここには何らかの対応が必要だと考えています。
 

【目次】
 P2 → 東日本大震災の直後
 P3 → 東北大学医学系研究科の復興計画案
 P4 → 地域医療の復旧から復興へ
 P5 → 東北大学医学系研究科の取組
 P6 → 震災復興と入学定員増
 P7 → 医師・医療系職業人の育成
 P8 → 東北大学医学部卒業生数
 P9 → 東北大学医学系研究科における教育
 P10 → 東北大学医学部医学科の定員増計画
 P11 → 定員増計画の背景
 P12 → 研修医マッチング
 P13 → 医学部の認証問題
 P14 → 災害に関する教育
 P15 → まとめ

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