東日本大震災と東北大学医学部定員増計画
■ 医師・医療系職業人の育成
【山本雅之氏(東北大学大学院医学系研究科長・医学部長)】
次のスライドをお願いします。
私どもは、医師と医療系職業人の養成に力を入れて取り組んでいるのですけれども、この目的では、既存の医学部や大学病院を重点強化することが大切であると思います。
メリットとして、やはり即効性もありますし、それから効率化を追求できると思います。それから何か起きたときに、すぐに対応できるということもあると思います。
それで、今回、私どもの医学科の定員の増を図りたいと考えています。
併せて、高度医療系職業人の教育コースを充実していくこと、さらに、国際化教育への対応もやらなければいけないと考えています。
ご参考までに、右下に諸外国の医学部定員の実情という一つの表をお示しいたします。日本は医学部定員8,900人と出ていますけれども、つい二、三年前まではこれは8,000人ほどで、そこに医学部が80ありましたので、大体医学部の定員は100ということになっています。
それで韓国や台湾は大体似たようなものなので、東アジアの医学部というのはこんな形なのですけれども、アメリカ、カナダはそれぞれ150人ほど、それからイギリスになりますと188人平均です。
それからドイツ。私どもの医学部はドイツのゲッチンゲン大学を模範にしてつくった医学部なのですけれども、ここは8,000人の定員に対して医学校が36校しかない。
さらにオランダに行くと医学校は8校しかないのです。結局のところ、諸外国の医学校の定員というのは非常に多いわけです。
ドイツのリューベック大学の医学部長が友人で、よく話をするのですけれども、常にリューベック大学の医学部は、同じホルシュタイン州にある、キール大学の医学部と合併しろというプレッシャーがかかっている。36校しかないのに、さらに合併しろと言われているというのです。
それからイギリスでは皆さんがご存じのように、GKTという新しい医学部があります。
GKTというのはガイズ・ホスピタルとキングズ・カレッジと、セント・トーマス・ホスピタルの医学部が3つ合わさって、定員が360人という非常に大きな医学部を形成しています。これは研究、それから教育の面で資源の活用ができるということで、新しい方向性を示しているものだと考えています。
それで、イタリア、フランス、ポーランドの例も調べてみたのですけれども、大体100人から300人の間で、大学の規模によって医学部の入学定員が違うということです。
我が国は大体同じようなサイズの医学部を、一県一医大構想というのでつくってきたということで、効率化の点で非常に遅れているのではないかと私は考えています。
【目次】
P2 → 東日本大震災の直後
P3 → 東北大学医学系研究科の復興計画案
P4 → 地域医療の復旧から復興へ
P5 → 東北大学医学系研究科の取組
P6 → 震災復興と入学定員増
P7 → 医師・医療系職業人の育成
P8 → 東北大学医学部卒業生数
P9 → 東北大学医学系研究科における教育
P10 → 東北大学医学部医学科の定員増計画
P11 → 定員増計画の背景
P12 → 研修医マッチング
P13 → 医学部の認証問題
P14 → 災害に関する教育
P15 → まとめ
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