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ニュース〜医療の今がわかる

災害医療について

■ 東日本大震災における医療分野の特徴と検討課題


【厚労省救急・周産期医療等対策室長】
 最後ですが、「東日本大震災における医療分野の特徴及び検討課題について」ということでまとめています。

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 私どもとしては、今回の災害は未曾有のものであり、医療機関の皆様、関係者の皆様には本当に大きなご尽力をいただいたものと思っております。

 ただ、何分にも、これまでなかった部分もありますので、今回の経験を踏まえて取り組んでいかなければいけないと思っています。

 現状の認識ですけれども、「医療需給」としては、地震より津波の影響が大きく、阪神・淡路大震災と比較して死亡者の割合が多く、負傷者の割合が低かったというのが状況でした。

 避難所生活の長期化に伴い、慢性疾患患者への医療ニーズが多数発生しているものと認識しています。

 また、元来、医師不足である地域が被災したことにより、医療需給の一層の逼迫が見られたと認識しています。

 まとめますと、医療需給のギャップについては、今回はDMAT・医療関係団体等からの医師派遣により対応してきたところですが、今後の医師等の確保や医療機関間の連携が課題であると認識しています。

 「医療機関の置かれた状況」でありますが、今回の災害では地震や津波による道路網の損傷とガソリン不足のため、職員の出勤、患者搬送、医薬品等の物資の搬送が大変困難となりました。

 また、固定電話・携帯電話とも接続が非常に困難となり、通常の通信手段が途絶しました。広範囲にわたりインフラが機能停止し、停電・断水等が発生したということでした。

 今回の災害で災害拠点病院にも被害が生じましたが、今後、拠点となる医療機関等が有すべき機能がどのようなものであるのか、その点を明らかにすることが課題であろうと考えています。

 これらの状況を踏まえ、私どもとしては、災害医療体制の一層の充実を図る観点から、災害医療のあり方について検討を行うための場を別途設け、その中で検討を進めていきたいと思っています。

 平成23年度中を目途に検討結果を取りまとめて、こちらの医療計画のほうにもその内容を反映させていきたいと考えているところです。具体的な取組み時期や内容については現在調整しているところですので、調整ができ次第、なるべく早く取り組んでいきたいと考えています。私からは以上です。
 
 ▼ 質疑応答は議事録を参照。

 
 
 (この記事へのコメントはこちら

 
 

【目次】
 P2 → 災害の区分
 P3 → 災害時における厚生労働省の役割
 P4 → 我が国の災害医療体制
 P5 → 広域災害救急医療情報システム
 P6 → 災害拠点病院
 P7 → 災害派遣医療チーム(DMAT)
 P8 → DMATの活動概要
 P9 → 発災直後からの医療確保への対応
 P10 → 都道府県域を越える医師等の派遣調整
 P11 → 東日本大震災における医療分野の特徴と検討課題

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