平成24年改定に向けたDPC制度に係る今後の対応 (上)
■ 考え方 ⑤ ─ 重症患者に対する診療
[小山信彌分科会長(東邦大医療センター大森病院心臓血管外科部長)]
次に18ページから25ページまでの所をご覧ください。これは同一DPC内の「診療密度」の差を見たものであります。
ここでは同一DPCで、同じ定額報酬の患者でも、「医師密度」の高い所では、より重症な患者を診療している場合がある。ただし、すべての所で見られるわけではないじゃないけれども、「そういう場合もある」という関係性が示されていると思われます。
18ページの例で見ますと、くも膜下出血や破裂性脳動脈瘤の病名で、脳血管クリッピング手術を行った方で、同一DPCの患者について、細かく解析いたしますと、人工呼吸と中心静脈を併用しているほうが、そうでない方に比べて「診療密度」がやや高いということが示されております。
さらに、19ページをご覧ください。
このグラフでは、「医師密度」が高くなるにつれて、人工呼吸と中心静脈を併用している重症患者の割合が増えていく傾向と共に、上のグラフでは「医師密度」高くなるにつれて「診療密度」が高くなっていることが示されております。
20ページ以降、当分科会でいろいろお示ししまして検討していただいた結果ですけども、ちょっと時間の関係で、この後は省かせていただきますが......。
この後のものは18ページから25ページまでですね、ポイントに関しましては、個別DPCではそれぞれの重症度に応じた細分化を始めますと、DPCの細分化が行きすぎまして、包括評価の趣旨から外れる可能性がある。
つまり、保険制度が非常に複雑であるので、DPCを使ってもう少し単純化しようということがあったわけですけれども、それが逆に、細かくすればするほどより出来高にどんどん近くなってきてしまうということがありまして、現実的でないと判断いたしました。
重症度により、差がある場合もあればない場合もあるということで、このようなことが細分化で対応しきれないと判断いたしまして、重症患者の診療は全体を評価することによって、つまり「基礎係数」を付けることによって「医療機関群」を考えたらどうかというようなことでもって、今回、このような結論に達しました。
【目次】
P2 → 検討を要する事項の概要
P3 → 中間報告の概要
P4 → 医療機関群設定の概要
P5 → 医療機関群の設定方針案
P6 → 考え方 ① ─ 大学病院本院
P7 → 考え方 ② ─ 大学病院本院以外
P8 → 考え方 ③ ─ 医師に対する研修
P9 → 考え方 ④ ─ 高度な医療技術
P10 → 考え方 ⑤ ─ 重症患者に対する診療
P11 → 関連する論点等
P12 → 今後の対応 ①
P13 → 今後の対応 ②
P14 → 今後の対応 ③
P15 → 今後の対応 ④
P16 → 今後の対応 ⑤