埼玉の医学部新設、「反対する理由は見当たらない」
■ 半世紀ぐらいはかかる
── 病院を拠点化、集約化することによって医師を適正配置するというのが厚労省の方針でしょう。
でも厚労省だって、前の厚生省の時は「医者が余ってしまう」って言っていた時期があったんですよ。25年か30年前にね。そうしたら、今度はだんだんだんだん、医師不足だと。ね? 余っちゃってしょうがねえからっていう話もあったんだよ。そしたら今は医師不足だと。ねえ?
── 見通しが甘いですよね。
厚労省の言うことはアテになんないよ。
── 文科省はどうですか。医学部新設の検討会では、とりあえず玉虫色の結論のまま止まっています。
これからだよ。これからつくる努力をしなくちゃいけない。
── お金の問題はどうですか。よく「財源が」って言われますが、どうでしょう。
まあ、700億円ぐらいは掛かるでしょ。でも埼玉県だって、例えばね、国体をやった時だって1000億ぐらい掛けてるんだから。質素に簡素にやるって言ったって、熊谷の体育館とかいろんな整備をするのに1000億ぐらい掛けてるんだから。ねえ?
ワールドカップを誘致するって、例えば2002のサッカー場にだって金を掛けているわけでしょ?
スーパーアリーナだのを造るって言ったって、みんなもろもろのお金が流れて1000億ぐらい掛けて造ってんだよ、ハコモノを。
── ハコモノをね。
ね? それがね、県民の生命を守るためには700だろうが1000億だろうが、そんなことはね、百年の大計で行かないと。もちろん、これを立ち上げても、やっぱり4分の1世紀ぐらいは実質的に、その医者が活動できるには半世紀ぐらいはかかるだろうよ。
医大を出てインターンやって、いっちょ前にやって、効果が出てくるまでにはやっぱり半世紀はかかるんだよ。医大がレールに乗って医師を輩出できるようになるにはね。今の埼玉医大だって半世紀だから。やってからね。ようやく最近、埼玉医大と呼ばれるようになったんですよ。
【目次】
P2 → こんなことは初めて
P3 → 埼玉県はやりやすい
P4 → きちっと競争をやらないと
P5 → 東京に依存している
P6 → 反対する理由はない
P7 → 半世紀ぐらいはかかる
P8 → これからだから