埼玉の医学部新設、「反対する理由は見当たらない」
■ これからだから
── 県の100年後を考えれば、というのは仰る通りなんですが、必ず出る意見として、「人口減少時代だ」と言うわけです。この20年ぐらいは厳しいけれども、たくさん増やしてしまうと将来は医者が余ると言うわけですが、この辺りはいかがでしょうか。
高齢化すればするほど、医師が必要なんだよ。社会保障費は医療費を含めて増大しているわけだ。そうでしょ?
── そうですね。人口が減っちゃうという点はいかがですか。
今だって、多少なりは増えているわけだよ。高齢社会になれば、若い人は医者にかからないという人だって、高齢になればどっか悪くなるわけだよ。そうでしょ。どこかしら悪くなる。だから医者を必要としている。病院だけじゃなくて、老健施設もそうでしょ。
── 医者が余ってしまうという点についてはどうですか。
どこの世界でも、いつの時代でも、どんな商売でもさ、淘汰されるものなんだよな。生き残るんですよ、何の商売だって。医者だって、みなさん優秀な中で、自分なりに努力していく必要もあるでしょうね。
── 高齢化だから医師不足だという考え方に対しては、「医療行為をすべて医師がやる必要はない」という考えもあります。優秀な看護師に認めればいい、医行為をもっと解放すべきとの考え方もありますが、いかがでしょう。
それはね、自分の権益を守ることしか考えてないからだよ。人生、長寿社会をエンジョイしたい、そういう人間の願いを叶えるという発想をみなさんに持ってもらいたい。そういう方向で考えてほしいわけですよ。
人間というのは弱いもので、いろいろあるわけだよな。看護師じゃなくちゃやれない部分、介護士じゃなくちゃやれない部分、あるわけですよ。精神的にね。やっぱり優しい看護師に励ましてもらえばさ、医者とは違うでしょ。看護師さんや介護士さんに励まされて、その日がずっと元気でいられるということがあるでしょ。
医術はやっぱり医者ですよ。でも、手術をした後なんかはね、人間というのは弱いものだから、病室にいる時に看護師さんに声をかけられて元気になることもあるんだよ。やっぱり餅は餅屋ということがあるでしょ。
── なるほど、分かりました。もうそろそろお時間ということですので、本日はどうもありがとうございました。
とにかく、我々は埼玉県の医師不足を解消したいということでこれからやっていくわけですから、県民のためにどうすべきかということで考えてもらいたいんです。これから執行部に対してやろうというところなんです。
これから政治的なことも含めて、いろいろ戦略、戦術を立ててやりますよ。ですから、我々の活動を素直に捉えてもらいたい。どこかと対決するとかそういうことではなくて、国民や県民が長寿社会の中でどうすべきかね、そういうことをみんなでしっかり考えていこうということじゃないですか。
── お忙しい中、ありがとうございました。
とにかくね、これからだから。これからまだいろいろあるでしょうね。
【目次】
P2 → こんなことは初めて
P3 → 埼玉県はやりやすい
P4 → きちっと競争をやらないと
P5 → 東京に依存している
P6 → 反対する理由はない
P7 → 半世紀ぐらいはかかる
P8 → これからだから