福島県立大野病院事件第三回公判
傍聴記を離れてしまうが、なぜにここまで医療者は司法ルールに無頓着で、司法の場でオロオロしてしまうのかという問題と併せて、私なりに考えたことを述べてみたい。
人間が生きていく中で従わねばならない最も基本的な規範は何か。現在の日本ではほとんどの人が「憲法」とか「法律」とか答えるのであろうが、少なくとも医療者にとっては(科学者にとっても?)法律よりも自然法則の方が上位概念ではないだろうか。
社会が(イコール人間が)どんな決まりや約束事を作ろうが、人間にできることなどタカが知れており、できないことはできないのである。法律で病気が治ったり、まして死にそうな人が蘇生したりは絶対にしないのである。であれば医療者が日常で学び指針とすべきは自然法則であり、過去からの経験の集積であって、法律ではない。
医療者は違法行為をしても許されると主張しているわけではない。医療といえども社会システムであるから、社会のあり方と無関係に存在するわけにもいかず、その目が医療者に対して厳しくなっている現状は否めないのだが、角を矯めて牛を殺すなかれ。ただでさえ学ぶべきことが多い医療者に対して、司法ルールを学びなさい、法律を第一に考えなさいと言うのが、本当に社会全体の利益になるのかは考えどころだ。
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