福島県立大野病院事件第三回公判
順に説明しよう。まず「イリュージョンショー」の方から。
S助産師は(弁護人の反対尋問によれば)高卒後に看護学校へ行き平成12年に看護師資格を取得、1年ほど小児科クリニックでパート勤務をした後、助産学校へ1年通って平成14年に助産師となっている。事件当時までの出産立会いの件数は40~50件、うち帝王切開は5~10回(6回が正しいらしい)。
検察 帝王切開の際、助産師の役割は一般的にどういうことですか?
S助産師 先生がとり上げた赤ちゃんを受け取って処置した後で新生児室のスタッフへ引き渡して、それから胎盤を持って帰って計測するのと、手術後のお母さんの状態観察をします。
検察 なぜ胎盤の計測をするのですか。
S助産師 胎盤に欠けている部分があった場合、それが子宮内に残っていると収縮が悪くなって出血が止まりづらいからと理解しています。
(間に別のやりとり)
検察 Aさん(亡くなった患者さん)の胎盤を計測したのは誰ですか。
S助産師 私です。
検察 どこで計測したのですか。手術室で計測したのですか。
S助産師 分娩室(筆者注:手術室ではないということ)にある流し台のところです。
検察 胎盤は既に分娩室にあったのですか。誰かが持ってきたのですか。
S助産師 はっきり覚えていませんが、私が取りに行って持ってきたのかなと思います。
検察 胎盤に特に変わった点はありましたか。
S助産師 変わっていました。
検察 どんな点が変わっていましたか。
S助産師 大きさが大きいのと母胎面がグチャグチャになっていて、母胎側の実質にないころがあって、今までに見たことがないものでした。
検察 どんなものか絵に描いていただけますか。
と、ここで弁護人から異議が出る。
弁護人異議 実物の写真が証拠として出ているのですから、絵など描かせずに写真を使えばいいではないですか。
検察 本人のイメージを言葉にしにくい面もあろうかと思いまして。
裁判長 イメージを表現するということですよね。結構です。
理解不能である。写真があるのに、それを使わない理由は何だ?時間の無駄も省けるではないか。こう思って呆然と眺めていると、再度弁護人から鋭い声が飛んだ。
弁護人異議 検察官の指示に従って描かせてるじゃないか!
裁判長 (珍しく不快気に)指示しないように。(証人に向き直って)あなたの記憶に残っている通りに描いてくださいね。
S助産師 はい、うまく描けないんですが。
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