医療事故調の地方説明会in仙台
嘉山
「気持ちは分かるんだが、しかし永井さんのところに自称被害者だと言って来ている人が本当はどうなのか。被害者といっても病気が重すぎてという被害者かもしれない。その辺が永井さんの話からは分からない。だってエビデンスがないから。公正中立と言いながら遺族側を入れろと言っているけれど、遺族側が入ったら公正中立ではない。言っていることが矛盾している。我々が今反対しているのは復讐の色が強すぎて、これでは誰も情報を出さなくなっちゃうからだ。重い病気で結果が悪かった人まで被害者だと、大野病院事件の遺族もまだ被害者だと言っているようだが、医療事故の定義がハッキリしてない。だからそこは互いに情報を出し合っていくしかない。永井さんの主張からは、医療者は嘘つきだから警察に捜査してもらうんだというコンセプトしか見えない。それでは、おっかなくて現場はどんどん萎縮していく。法を厳しくすれば官僚や官庁は責任逃れできるけれど、それでは社会が崩壊しちゃう」
永井
「最後のところは全く同じ。だが、そこに行く前、最初に納得いくように説明されていない。理解できないうちにシャットアウトされて、それからはクレーマーだと言われる。納得できるように説明されてないんだから」
嘉山
「やってないというエビデンスを出してくれ。事実を出してくれれば、私は全国医学部長病院長会議の医療事故に関する長で、処分することだってできるんだから」
大江
「出発点は違うが2人の言っている情報公開とか説明責任とかは同じなので、お互いに歩み寄ることで差は埋められるのでないか。従来の司法手続きから独立して再発防止につなげるんだという点では異論ないんだと思う。信頼回復とか独立性とか事故とミスの線引きとかのために、では委員会は何ができるのか。そうはいっても事故調の実態が不明なままだと疑念を抱かれてしまうのはあるのだろうが、共通しているのは独立して儲けられる調査委員会の公平性や透明性という点では皆さんの意見は一致する。今後法案化していくにあたって、どういう形で国は進めて行くのか」
深田
「独立性というのは、どこの役所に置くかということになるだろう。3条とか8条とか出ていたが、正直そこまで議論できていない。大事なことは、大綱案には委員は独立して権限を行使すると書いてあることで、大臣や行政当局が何か言うのはできないし起こしてはならない。報告の取り扱いに関しては、プライバシーの関係があるので、まずそういうところは除いて、そのうえで重要な点があれば提言なり勧告なりにつなげるという形で進めていきたい。それから誤解があるようなので断わっておくと、委員の中に入る『医療を受ける立場の者』というのは、被害を受けた方ではない。当事者を入れることではない。線引きを明らかにすることは、ご指摘のとおり大事だが、しかし言い表し難い。個別事案に即して判断していくしかないと思う。そうはいっても不安は分かるので、我々の方でも事例をまとめて、ご意見をいただけるようにしたい」
これだけ膨大な内容の討論のご紹介ありがとうございます。
>やはり「医療者」と「医療被害者」との対立を先鋭化させただけで、税金の間違った使い方と言わざるを得ない。やらない方がマシだったと思う。
まさしく御説のとおりだと思います。同じところをグルグルと言い合いしているだけで、数年前から全く進展しているとは思えません。
事あるごとに指摘されているように、医療事故調の目的が「医療安全の向上」なのか「責任の追及」なのか「医療事故の原因解明」なのか全く不明確なまま、つまり、根源的な議論の方向性を決めないまま、拡散した議論を垂れ流して回を重ねているのが現状だと思います。
あの制度設計で、「医療者の責任追及が目的でない」などと虚言を重ねられても、その戯言を信じて頑張って医療の現場を支えられる訳がありません。
「医療者」と「医療被害者」との対立も、迷走した議論から副次的に生じたものだと思います。議論をリセットして、「医療安全」を主題として対話を始めるしかないと思います。
>岡山の内科医先生
コメントありがとうございました。
本日のサンデープロジェクトで労働者派遣法成立のいきさつをレポートしており、非常に興味深い内容ではありましたが、問題が起きてから批判するというのは余りにも知恵のない話だと思います。できる前にきちんと報じることを続けていきたいと考えています。