医療事故調の地方説明会in仙台
大江
「どういう立場の人が調査委員会に入るのかという問題。医療者中心になるのはいた仕方ない。専門的な話なんだから。しかし従来の病院内の調査は必ずしも患者が理解しえないことがある。当事者でない形の住民や法曹界の人間が入ることは必要でないか。その辺どのようなバランスがよいのか、外の目を入れるために望むことは、永井さん」
永井
「それは中央委員会の話か」
大江
「当然、調査チームは医療的なものが重くなるかと」
永井
「専門的に評価するのは医療者しかできない。ただし、その過程が普通の医療者が見た時、一般市民から見た時に本当にきちんと意見を言える人たちの集まりなのかというのは問題だ。学閥とか学会のしがらみを感じてしまう。であれば、専門的に医療問題を取り扱ってきた弁護士とか事故を経験している識者のような人が入って、検討内容に対する異議を発することで中立性を担保できるのでないか。医療界に本当に自律性が出てくれば、そういう人はいらないのかもしれないが」
田林
「構成は大事だが、その医療機関内部の人間は除いて、全員外部にするとか、同じ大学の出身者ではないとか、外科が起こしたことなら同じ分野の内科が見るとかすればよい。外部の人を委員にするにあたっては法律家も必要だろう。それは報告書の文言を書く際に参考になる意見を言ってもらえる。大野病院事件の場合も、報告書の文言に問題があって、司法当局が刑事事件に値すると判断してしまったという面がある」
大江
「山形大の場合も外部から法律家が入っている。外部の意見はどのように生かされているか」
嘉山
「弁護士は法学のレジームと生物学のレジームの違いをつないでいる。それによって調査報告書の質が上がった。我々は何の気もなしに障害が残ったと書いてしまうが、それでは傷害罪の対象になってしまうというような。しかし一番大事なのは科学的に調査して次の患者さんに起こさないということであり、その科学的にということでいえば先ほどのような委員はいらない。こんなことやっているのは日本だけだ。復讐の考え方を入れてしまうから、どの分野も萎縮してしまっている。本当に大事な患者さんのことを考えれば、きちんと科学的に調査することに尽きる。インチキするなら弁護士だろうが患者代表だろうがダメ。科学的にウソがあったら、そこでペナルティを科せばいい。エキスパートアナリストが調査するのが一番。日本のメディアは論調が復讐劇に走ってる。やらせてみて自律させてみて、きちんとしなければペナルティだ」
これだけ膨大な内容の討論のご紹介ありがとうございます。
>やはり「医療者」と「医療被害者」との対立を先鋭化させただけで、税金の間違った使い方と言わざるを得ない。やらない方がマシだったと思う。
まさしく御説のとおりだと思います。同じところをグルグルと言い合いしているだけで、数年前から全く進展しているとは思えません。
事あるごとに指摘されているように、医療事故調の目的が「医療安全の向上」なのか「責任の追及」なのか「医療事故の原因解明」なのか全く不明確なまま、つまり、根源的な議論の方向性を決めないまま、拡散した議論を垂れ流して回を重ねているのが現状だと思います。
あの制度設計で、「医療者の責任追及が目的でない」などと虚言を重ねられても、その戯言を信じて頑張って医療の現場を支えられる訳がありません。
「医療者」と「医療被害者」との対立も、迷走した議論から副次的に生じたものだと思います。議論をリセットして、「医療安全」を主題として対話を始めるしかないと思います。
>岡山の内科医先生
コメントありがとうございました。
本日のサンデープロジェクトで労働者派遣法成立のいきさつをレポートしており、非常に興味深い内容ではありましたが、問題が起きてから批判するというのは余りにも知恵のない話だと思います。できる前にきちんと報じることを続けていきたいと考えています。