「大人の解決」の道具、「宿日直許可」
■医療機関の4分の3が「宿直許可」、実態は?
梅村
認識としては同じということが分かった。そこで、労基法における宿直概念には、「宿直許可」がある。それを取らないと、宿直扱いができない。「宿直」ができないというわけではないが、許可を取らないと、36協定を締結して、時間外労働があるときは、割増賃金を払わないといけない。もしくは完全交代制にしなければならない。「宿直許可」というのはなければできないのでなく、なかった場合に確実に36協定を締結し、時間外労働を認め、割増賃金を支払うというもの。
平成19年10月時点で総数として8862病院あるが、宿直許可を取っている病院の数は。
金子
少し前の数字だが平成14年度の数字がある。労働基準監督署長に許可を受けている医療機関数は、診療所も含めて約6600という数字を把握しているところだ。
梅村
8800の医療機関のうち、6600が宿直許可を取っている。では、2200、少なくとも4分の1が宿直許可を取っていないということ。全体の病院の4分の1は宿直扱いではない。それでは、4分の1が36協定を締結し、時間外労働時間を決めて、割り増し賃金を払っているということに、理論上はなる。それは把握しているか。
金子
宿日直の許可を受けていないケースの、労働基準法に適応した対応ということで申し上げると、時間外労働として行うということだが、これ以外にも交替制を取ると、通常の所定労働時間ということでカウントすることも可能。全体としてどういった対応しているか、数字等の把握はない。
梅村
全体の4分の1が交替制とはとても考えられない。個人的感想として聞き流してもらっていいが、4分の1が交替制勤務をするなんて、絶対にできない。
逆の質問すると、救命救急ンセンター、2次救急医療機関では、常に患者が来る。すると、すべての救命救急センターが2200か所中に入っていると考えるのが自然。患者が常時来る医療機関について、平成15年12月26日、厚労省労働基準監督課長名の文書で、どこからどこまでを宿直と扱うか、という記載がある。この中では、 「1か月における宿日直勤務中に救急患者に医療行為を行った日数が16日以上である医療機関の場合には、救急患者の対応等に要した時間が、宿日直勤務者1人について、おおむね1時間を超えるもの」について宿直許可基準上での宿直を認めていますという文章が出されている。地方の救急病院と都市の救急病院など、いろいろな事情はあるが、救急告示病院は患者が常時来るのが前提。そういうところ2200か所にすべてのセンターが入るのが自然と考えるが。
金子
申し訳ないが、救急の状況については、救急指定を受けている病院の中も、宿日直許可を受けて運用している病院があるとは把握しているが、全体像について把握した数字はない。
熊田さま
ディクテーションお疲れ様です。
この半年くらい参議院厚生労働委員会での議論は結構建設的で身のある内容が増えてきたように感じます。
与野党を問わず、週末にテレビに出ない議員の方が地味ですが真面目に物事を考えているように思います。
KHPN先生
ありがとうございます。
ネット環境さえあれば誰でもこうした国家答弁が聞けるというのは
昨今の大きなメリットと感じております。
多くの方々のお声を聞いていきたいと思っております。