文字の大きさ

ニュース〜医療の今がわかる

集約化か、救命救急センターの活用か―重篤小児の救急医療

第4 今後の方向性

1.小児救急患者の搬送と受入体制の整備
 小児科医を含む協議会を都道府県に設置して、搬送や受け入れの基準を定める。受け入れ体制は、都道府県が策定する医療計画で明示し、住民に分かりやすく伝える。

2.小児の救命救急医療を担う救命センターの整備
 救命救急センターの実施要綱における小児救急専門病床の要件を見直す必要がある。

3.小児の救命救急医療を担う小児専門病院・中核病院の整備
 従来の救命救急センターの小児救命救急部門と同等の機能を有する「小児救命救急センター(仮称)」として、必要な支援を行う。
 ※ 4月23日の第3回会合で厚労省が示した「小児救命救急医療の今後の整備(案)」では、小児の救命救急医療を担う医療機関を「小児救命救急センター(仮称)」と定義していた。

4.小児集中治療室の整備
 財政的な支援が不十分であることなどが原因で整備が進んでいないため、支援が必要。医師の養成、確保も必要。

第5 おわりに
 

 以下、全文引用。

本検討会では、重篤な小児救急患者が確実に受け入れられる体制の整備を目指して、地域ごとの搬送及び受入基準の策定や、重篤な小児救急患者の受入体制の整備について議論した。その中で、重篤な小児救急患者の受け皿として、小児集中治療室のあり方についても議論が及んだ。さらに、我が国の現状と将来を考え、小児の救命救急及び専門的医療の基盤となる地域全体の医療提供体制についても議論した。また、今後の方向性として、①救命救急センターと本院との連携をさらに推進する必要性、②小児の救急医療に精通した医師の養成の必要性、③小児専門病院を大学病院等の中核病院に隣接して設置し、密接な連携に基づき医療を提供する体制の必要性などについて、発言があった。

 小児の専門的医療と一般救急医療との機能分担については、「超急性期」及び「急性期」という概念を導入することで、①小児救急患者の搬送及び受入体制の整備、②「超急性期」の救命救急医療を担う医療機関の整備については、一定の方針を示せたものと考える。しかし、小児集中治療室の要件や、「急性期」を脱した患者に対する医療提供体制については、十分な議論ができたとは言い切れず、今後の検討課題として残された。

 この他にも、議題としては取上げなかったものの、小児患者については、初期から三次救急までを区別することは難しい場合もあり、すべての小児救急患者を受け入れる医療機関を整備する必要性について、発言があった。また、小児救急患者の大半を占める軽症患者について、軽症患者が軽症にうちに治癒できるような対応の重要性、又は、軽症患者の中から重症化しうる患者を適切に選び出して早期に治療を開始する必要性などが指摘された。

 今後は、国が中心となり、本検討会で示された各種の対策に取り組むとともに、今回示された様々な課題に関してさらなる研究や検討を行うことが求められる。

 中間取りまとめ案の「3.小児の救命救急医療を担う小児専門病院・中核病院の整備」については、これまでの検討会で意見の対立が多かった。この項目に関する委員の発言要旨は以下の通り。

  • MRICメールマガジンby医療ガバナンス学会
loading ...
月別インデックス