集約化か、救命救急センターの活用か―重篤小児の救急医療
■ 「二次医療圏をやめて地域で議論」
[有賀徹委員(昭和大医学部救急医学講座主任教授)]
私も読んでみて、全体像は理解しているが、話の1つ1つの分かりにくさというのがある。医療の提供側から見ると、今の手持ちは、救命救急センターと、一部の元気な小児専門病院、この2つしかない。
従って、救命救急センターは恐らく、「超急性期」についてはみんな診なきゃいかんだろう。しかし、救命救急センターの中に、親病院というか、救命救急センターの後ろ側にパワフルな小児科または新生児をやっている先生方がたくさんいるとすると、上手な連携をすれば、阪井先生みたいなことができるかもしれない。
医療提供側からすると、救命救急センターの中の一部には、小児専門病院と同じようなことが、つまり、「超急性期」プラス「急性期」ができるかもしれない。
というようなことと、救命救急センターはちょっと横に置いて小児専門病院で考えると、恐らく「急性期」はうまくやればできるだろう。もっとムチを入れれば、「超急性期」もできるかもしれない。というような、医療提供側の手持ちのカードから見た議論が1つ、どうしても頭の中にある。
しかし、救命の連鎖の話で考えると、「現場」があって、それから「運び手」がいて、それから「超急性期」があって、「急性期」がある。こう考えると、「超急性期」の部分については、やはり全部の救命救急センターがそれなりのことをやってくれよという話になる。「急性期」に関して言うと、救命救急センターの中の一部はそれになってもいいかもしれないが、今現在、頑張っている専門病院で、「急性期」の部分については、それなりの手厚いことを院内で考えるなりして、うまくやればいけるかもしれない。
従って、救命の連鎖は、「現場」「搬送」「超急性期」「急性期」、それからその後の「出口」という議論で読んでも困らないし、手持ちのカードから見て、私たちの手持ちのストラクチャーをどのように変えていけば、良いプロセスが得られるか、その結果、1歳から4歳までのアウトカムはこんな風にうまくいくね、という両方から読んで困らないような書きぶりにする話の方がいいのではないか。
これは、とりあえず「たたき台」としてできているが、手持ちのカードからするとこのようにならざるを得ないかもしれないが、阪井先生や渡部先生が言ったように、「搬送」「超急性期」「急性期」という中で、「超急性期」に入る病院、「急性期」に入る病院という形で、縦横でうまくやればいいのではないか。
[石井正三委員(日本医師会常任理事)]
今の話の流れは、どちらかと言うとインテグレーション、全体を統合した話ではなくて、むしろ"微分側"に傾いているかなというのが印象。
もう1つは、都市と地方で分けると、都市型に傾いているかなと。それを全部、全国の標準に当てはめようとすると、ちょっと無理がある。
やはりアバウトな所を残しておかないと。例えば、四国1つの大きさが全部へき地医療という地域がある。そういう所をイメージしたときに、「何歳はこうあるべきで」という年齢で制限したり、あまり細かい書き方をすると、取り戻しできない。
従って、「これを参考に地域でちゃんと考えてください」と言った場合に、やりようがないのでは困る。
[有賀委員]
今、四国の話が出たが、「現場」「搬送」「超急性期」「急性期」という、この手の話は四国は四国なりにつくれるだろうか。
[石井委員]
四国の「大きさ」を(問題にした)......。
[有賀委員]
だから、その大きさで。例えば、東京都の二次医療圏は北多摩が3つに分かれた。でも、昔の北多摩群をまとめた方がいいということが分かったので、脳卒中に関しては、厚生省がつくってくれた二次医療圏はやめて、北多摩群でやろうじゃないかという話になっている。
だから、この手の総論を地域に下ろせば、その地域で、その地域なりの議論をきちんとやっていけるのではないか。それが消防法の改正の話だったと理解している。
[中澤座長]
ありがとうございました。多少、融通が利くような形にしておいた方がいいだろうと思っている。
杉本(壽・星ヶ丘厚生年金病院院長)委員、今日は欠席だが、杉本委員から「救命救急センターですべての子どもを受け入れるべきだが、小児は断られている所がある」という話があった。
このため、地域では、「少なくとも1か所は引き受けてくれよ」というのが真意。今日、近々にできることと、将来の話を分けて考えて、どちらにも読めるような形に残しておきたいというのが、個人的というか、座長としての見解だ。(以下、略)