文字の大きさ

ニュース〜医療の今がわかる

先発品企業が命運を託す「薬価維持特例」(2)―意見陳述(ファルマ等)

■ エフピア(EFPIA、欧州製薬団体連合会)
 

 エフピア・ジャパンのマーク・デュノワイエです。
 「薬連提案の新薬価制度」に対するエフピア・ジャパンとしての基本的な考え方をお話しする。

 日本の皆さんに革新的な医薬品をできるだけ早く届けるためには、日本国内の創薬環境が整備され、研究・開発投資が活性化されなければならない。

EFPIA意見陳述書0603.jpg エフピア・ジャパンは以前から、製薬企業が新薬開発への努力を継続し、さらに増大するためには、適切なインセンティブが必要であり、そのために抜本的な薬価制度の改革が必要だと訴えてきた。

 業界が提案している新薬価制度の導入、特に新薬に関しての「薬価維持特例制度」を導入することにより、日本への投資の優先順位が確実に上がる。

 投資の優先順位が上がることにより、国際共同治験が促進され、日本での承認時期が早まることと確信している。そして、日本における患者さんの新薬へのアクセスがさらに加速・促進されることになる。

 イノベーションの適切な評価と後発医薬品の使用促進が薬剤に関してのキーワードになっているが、エフピア・ジャパンは、イノベーションとは、ごく一部の画期的な新薬のみではなく、新薬開発そのものがイノベーションであると考えている。

 海外を見ると、一定期間あるいは後発医薬品が市場に参入してくるまでは、新薬の価格が維持されているのが一般的な実態。日本のみが、知的財産としての特許を有する期間においても定期的な価格の切り下げが行なわれる特異的な国といえる。イノベーションの評価の観点からも、この「薬価維持特例」の早期導入を強く訴える。

 次に、薬価維持期間終了後の先発医薬品の価格の在り方について。

マーク・デュノワイエEFPIA会長(左)L.jpg 一定期間価格が維持された場合、後発医薬品参入後は大幅に価格を引き下げることを、既にエフピア・ジャパンは提案してきている。

 しかし、それと同時に先発医薬品の価格と後発医薬品の価格の関係を見たとき、エフピア・ジャパンは、先発医薬品と後発医薬品との価格差は、後発医薬品使用促進の観点からも必要であると考える。

 後発医薬品の価格帯はヨーロッパの国々ではまちまちですが、概ね後発医薬品の価格は30%から70%の中にある。

 厚生労働省は、2012年には後発医薬品の数量ベースで30%を占めることを目標に掲げており、財政的なシミュレーションもこの30%達成をベースになされている。

 後発医薬品と長期収載品を合わせた数量シェアは約53%。後発医薬品の使用により期待される薬剤削減の達成のためには、特許期間あるいは再審査期間が終了した先発医薬品と後発医薬品の価格水準について、引き下げ調整が行われることもあり得ると考える。

 最後に、未承認薬・未承認効能についての取り組みについては、製薬協を中心に新たな組織である「未承認薬等開発支援センター」が立ち上がった。エフピア・ジャパンも他の業界団体と同様に、当局の指導の下、引き続き取り組みを継続していく。

 参考として、いくつかの数値を示す。

 未承認薬使用問題検討会議で検討されている最新の情報では、未承認薬は44成分ある。うち29成分が外資系企業によって開発されており、11成分がエフピア・ジャパン加盟企業にかかわるもの。エフピア・ジャパン加盟企業によって、既に9成分が開発され、承認取得に至っている。

 どうも、ありがとうございました。

[遠藤部会長]
 どうもありがとうございました。それでは引き続き、卸連からお願いしたい。

  • MRICメールマガジンby医療ガバナンス学会
loading ...
月別インデックス