先発品企業が命運を託す「薬価維持特例」(3)―質疑応答
■ 「医療費のパイの中で産業育成か」―藤原委員(日医)
[藤原委員(日医)]
「薬価維持特例」を考えるとき、医療全体が大変疲弊している。これは医療財源の不足だと考えている。
このような中、業界から「安定的に利益を早く得たい」と。それはもちろん、「産業育成という観点から必要だ」ということは理解できる部分もある。しかし、「少しムシが良いかな」という部分もある。
というのは、研究・開発費が適正に使われるのかどうかは、あくまでも業界の判断で、それをチェックするシステムが全くない。
医療費のパイの中で産業育成ということを考えるのか。
経済産業省とか、総合的な中で考えるべき問題も多く含まれていると考えるが、これについて医薬品業界はどう考えるか、お聞きしたい。
[遠藤部会長]
はい。産業育成と薬価基準制度との関係をどう考えるかという質問。どなたでも結構だが......。
[長谷川・日本製薬工業協会副会長]
上場企業でどのような「R&D」投資をするかというのは、もちろん最終的には経営者の判断だが、業界のスタンダードというものもある。
大体、ネット売上の2割前後を研究・開発に投資しているが、それを闇雲に増やしたからといって、正しい結果が出る訳ではない。
それは、私どもの場合は株主の皆様、特に、ここにご列席の皆さんも大体4割ぐらいが海外の機関投資家の方が保有していて、そういうところでの厳しいチェックも受けているし、結果として、いい加減な研究・開発投資をして利益率を下げれば、それは株価の下落、市場価値の下落ということで評価が下がり、経営者としての責任を問われるということなので、そういう市場のメカニズムの中で、きちっと評価されていると認識し、それに応えるためにビジネスをやっている。
お気持ちは分からない訳ではないが、企業の「R&D」の使い方がいいかどうかを第三者がチェックをするということは、ちょっとご勘弁いただきたい。
[遠藤部会長]
はい、そういうご意見だが、藤原委員、よろしいだろうか。
[藤原委員(日医)]
これは非常に難しい問題だと思うが、株式会社として配当などを考える状況の中にあって、産業育成だけに......、ある意味......、こういった所(国民医療費)から資源を吸収して、それが適正にされているか(日本国民に還元されているか)......というところが見えにくいところが、国民にも理解を得にくい形になっている。
これは製薬企業だけの責任ではないと思うが。ま、一言、そういったことを......。
[遠藤部会長]
そういう視点も含めて、今後の議論ということだと思う。牛丸委員、どうぞ。