文字の大きさ

ニュース〜医療の今がわかる

先発品企業が命運を託す「薬価維持特例」(3)―質疑応答

■「市場規模が小さい領域で後発品が出るか」―小島委員(支払側)
 

[関口・ファルマ在日執行委員長]
09_日薬連の意見書0603.jpg ファルマの資料の8ページ、9ページで示したものは、この手段(加重平均乖離率)が本当に目的を満たしているかを検証するためにやった。

 「革新性」というのは、やはり競争があまりないこと。競争がどんどん入ってくると「革新性」が失われてくると考えられるのではないか。

 革新性が高い、すなわち競争が非常に少ないと言われているオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)、あるいは原価計算方式で算定された医薬品のデータを取ると、ほとんどが「加重平均乖離率」以下。「加重平均乖離率」を1つの指標として考えることの妥当性がここで示されたのではないかと思う。

 先程、庄田会長からもお話があった通り、最初の(薬価収載)時に革新的であっても、競争がどんどん入ってきて、薬価差が大きくなると革新性は失われていくと考えるべきだと思うので、市場のメカニズムに委ねるという要素も絶対に必要なのではないか。

[遠藤部会長]
 ありがとうございます。それでは長谷川副会長、どうぞ。

[長谷川・日本製薬工業協会副会長]
 (薬価維持特例の)ルールを申し上げたが、中医協委員の皆様のご質問に必ずしも満足のいく形でお答えできていないかもしれない。

 私どもで再度検討して、より明快にお答えできる余地があるかもしれないので、われわれサイドも、もう少し検討させていただけるだろうか?

[遠藤部会長]
 ありがとうございます。対馬委員、よろしいだろうか、今の日薬連の回答で。 (対馬委員、うなずく)

 はい、ではよろしくお願いいたします。小島委員、どうぞ。

[小島茂委員(日本労働組合総連合会総合政策局長)]
 私は、「薬価維持特例制度」についての質問。
日薬連、製薬協にご説明いただいたが、日薬連の資料の14ページ(予測される薬価維持特例の対象領域)、ファルマの資料の8ページ(加重平均乖離率より薬価差の小さい新薬の売上)。

14_日薬連の意見書0603.jpg ここ(日薬連資料14ページのピンクの部分)が「薬価維持特例」の対象のイメージかなということ。

 「グレーの部分」は乖離率が大きいので対象にならず、加重平均乖離率以下である「ピンクの部分」が対象というイメージになっているが、ここで疑問に思ったのは、特許が切れた後の薬と後発品が競合した場合にはどう考えるかということ。

 思い切って、特許が切れた場合に下げるということになると、該当する後発品は、まあ、たぶん、参入しなくなるのではないかと思う。

 基本的なコンセプトとして、特許が切れた場合に、(薬価維持特例の)対象の薬については、後発品に「譲る」ということならば、先発品としては「市場から撤退する」ということ、たぶん、そういう話なんだろうと思うが、そう綺麗にいくかどうか?

小島委員L.jpg ということと、もし14ページ(予測される薬価維持特例の対象領域)でイメージしているようなもの(難病治療薬など)が「薬価維持特例」の対象ならば、本当に後発品が参入するのかどうか?

 例えば、ピンクの左側の部分の市場規模が小さいような所で、後発品が本当に出てくるのか。

(ピンクの部分でも、抗がん剤のように)市場規模が大きい所もあるが、対象になった薬の後発品は限られたものかなぁーと思うのだが、これをどう考えるか。

 もし、後発品が出てこないということであれば、そこは引き続き先発品として市場に置いておくことが必要となるが、そのときに、もし仮に対象の後発品があった場合に、後発品の価格をどう考えるか。
今は、先発品の「7掛け」になっているので、対象となったもの(先発品)が思い切って価格を下げるということになると、それよりも低い後発品価格で、それで本当に市場参入があるのか。

 つまり、(薬価維持特例の)対象の薬の特許が切れた後の後発品との関係をどう考えるのかという点が1つ。

 それと、もし後発品がある場合、その後発品の価格設定をどう考えるのか。現在の「7掛け」をどう考えるか。そのためには、先発品の特許が切れた時の価格をどう値付けするのかについて、どう考えるかという質問。

[遠藤部会長]
 後者の「後発品の値付けをどうするか」については、業界の方に聞いてもあれなので......、これは中医協の議論という形で。

 先発品として、特許が切れた後の価格設定。「特例引き下げ」との関連のような話だが、それについて、どう考えるかという質問が2番目。

 では、1番目と2番目、お答えいただけるだろうか。

[庄田・日本製薬工業協会会長]
 今回、ご提案しているのは、「薬価維持特例」の期間中であっても、市場実勢価をきっちり把握した上で、その間に累積された部分をもって、特許が失効して後発品が出現した段階で先発品の価格を下げること。

 もう1つは、先程の14ページ(予測される薬価維持特例の対象領域)で、「後発品が出ないのではないか」というご質問。

 今回のご提案は、特許が切れ、たとえ後発品が出なくても、15年で「薬価維持特例」が終わる。例えば14ページの左の一番下(市場が小さく、参入している製品が少ない領域、例えば難病治療薬等)。

 市場が小さく、参入している製品が少ない領域なので、後発品が出ないケースもあるだろうと。その際に、無制限に「薬価維持特例」が続くことがないように、期間を決めた方がいいのではないかということで、「15年」をご提案している。

[遠藤部会長]
 特許切れ後の先発品の価格については何か......。今、お答えになられただろうか......?

[庄田・日本製薬工業協会会長]
 あの、累積を......。

[遠藤部会長]
 累積を下げるということだけ、分かりました。ありがとうございます。

 それでは渡辺委員、どうぞ。

  • MRICメールマガジンby医療ガバナンス学会
loading ...
月別インデックス