先発品企業が命運を託す「薬価維持特例」(3)―質疑応答
■ 「先発品が急激に下がると後発品はやりにくい」―渡辺委員(日歯)
[渡辺三雄委員(日本歯科医師会常務理事)]
2点ある。日薬連さんに聞きたい。1点は要望で、1点は質問。
私は歯科医療の立場で申し上げたい。
抗生剤などいろいろな新薬が出てきた場合、歯科医療の市場が小さいということもあるが、歯科の適応がないものが多々ある。
私たちは厚労省発出の通知の下に、効能・効果をもって使用できるということを1つの考えとして使うことがあるが、
やはり、はっきりと適応症がそこに入るということが、医療の現場として非常に重要なことなので、よろしくお願いしたい。
ある意味、「アンメット」なんです、私たちは。そういうことで、お願いしたい。
もう1点、小島委員とダブる気もするが、(日薬連資料の)8ページの右下図について。現行の制度と、新しい「薬価維持特例」の考え方が出ている。
メーカーサイドとして、特許期間中に的確に資金の回収というか投資分の回収というか、そして利益分の回収をしたいというお考え、よく分かる。
しかし、ピンクで示されている「現行制度」というのは、特許期間中は徐々にではあるが価格を下げながらも、特許が切れた後も、その立場を維持するという考えの下に現行制度があると思う。急激に下がらないということは。
それに比べて、新しい(薬価維持)特例の場合、特許が切れた段階で大幅に価格を下げるということでいくと。その言葉として、「後発品への急速な代替」と記載されている。
また、12ページにも(特許失効後は、市場を後発品に委ねるというコンセプトに立つと)書いてあるが、急速な代替が行われるためには、市場での価格差があって初めて、そういうことが行われると思う。
やはり、長年にわたって信頼と安全性を確保してきて、非常に名の売れた商品と、新たにできた後発品との間には、医療現場としては、気持ちの中にインプットされている部分が大きい。
そういう意味では、「価格差があって、患者さんにとってもメリットがありますよ」という話にもなるとは思うが......。
でありながら、12ページに「後発品上市後の先発品の価格は、後発品の使用促進状況や価格水準等により決まる」とある。
明確な、そういうことが......、明記されていない。同時に、8ページのグラフ。
急激に先発品を下げるということは、後発品として、ひじょーーーにやりにくい価格になるだろうということが感じられるのだが、その点をどのように考えるのか。
先程、(関口・ファルマ在日執行委員長が)相当な価格差が必要という話をしていた。そういうことで、この制度の中で、どういう風にして、その価格差が出てくるのか。先程のお答えの中に、「市場の競争でやるんだ」と。競争でいくと、なかなかこれは難しい。
価格差のことをどのように考えているのかを聞きたい。
[遠藤部会長]
ただ今の渡辺委員、1つは「歯科領域にも薬の適応を考えてください」という要望。
もう1つは、特許が切れた時の先発品の価格と、登場してくるジェネリックとの価格差について、今までは段々と先発品の価格が下がっていって特許が切れるという形だったが、(薬価維持特例)の対象になると、突然下がると。
その下がった時の水準と、従来(現行制度)のやり方をやって特許が切れた時の先発品の価格の水準。それらがどういう関係なのか。
渡辺委員が考えているのはたぶん、一気に下がったことによって、従来(現行制度)よりも価格が引き下がるのではないかというイメージだろうか?
[渡辺委員(歯科医師会)]
一気に下がることによって、後発品の競争力が出てこないのではないかを心配する。
[遠藤部会長]
「一気に下がった」ということ? 「価格」が? 「水準」ではなくて?
[渡辺委員(歯科医師会)]
はい。
[遠藤部会長]
あ、分かりました。じゃ、その辺のご認識を。これはでも......、もしかしたら、ジェネリック......、そうですね、では澤井さん、お願いします。