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先発品企業が命運を託す「薬価維持特例」(3)―質疑応答

■ 「新薬あってのジェネリック」―澤井・製薬協会長
 

[澤井弘行・日本ジェネリック製薬協会会長(沢井製薬(株)代表取締役会長]
 先程、山本先生から(ジェネリックを促進すると在庫が極めて増えるという)ご指摘もあったので。

 ジェネリック医薬品をたくさん扱えば扱う程、二重に在庫が増える。分散するので、使用期限が切れるような不良在庫も出てくる。

澤井弘行製薬協会長r.jpg (後発品の使用促進を)やればやる程、経済的に不利益になるような場合には、ジェネリックの普及促進は難しいと思う。

 かつてジェネリックの国際大会で、WHOの提言があった。やはり、ジェネリック医薬品の使用促進には、医師または薬剤師のインセンティブを高めること。特に、 ベルギーの(スティーブン・)シモンズ教授は、ヨーロッパでジェネリックが伸びた実態を研究され、「薬剤師さんが調剤をして不利益を被るということがないように」と結論付けている。

 そういうことが、後発品が伸びない理由の1つにあると思っている。

 広報については、厚労省が大変努力して、2006年ぐらいから動画を出し、2008年には品質や有効性、安全性が(先発品と)同等であるというポスターを出した。2009年2月には、品質や効き目に何ら変わりはないというリーフレットを出した。

 しかし、なかなか目に入らないのではないか。この辺に問題がある。われわれとしても、(後発医薬品の安心使用促進)アクションプログラムをきちんと実行して、品質の情報などをパンフレットや添付文書に入れるという形でアクションプログラムの実行に努力している。

 個々の企業は、テレビコマーシャルなどを通じて、同じ効き目で安いジェネリックという広報もしている。

 先程の......あの......

[遠藤部会長]
 はい。

[澤井・日本ジェネリック製薬協会会長]
 「薬価維持特例」の話だが、正直申し上げると、われわれは新薬あってのジェネリックなので、新薬メーカーが新薬開発が難しい現在、「薬価維持特例」というものを出すことに対しては基本的に賛成している。

 しかし、特許が切れた時点、およびその過程において、後発品の30%という国の目標がセットになっているということは、あくまで崩さずに努力していただきたい。われわれも努力する。

 そして、もし現在の「薬価維持特例」で、特許が切れた時に30%ダウンして、後発品に変わると。後発品が30%下の薬価で載って、その後、「特例引き下げ」の後、さらに下げるという説明だが、私は現在の制度の中では後発品に切り替わらない、ますます切り替わらないという判断を持っている。

 それなりの制度、(後発品に)切り替わるような制度を追加的にしない限り、薬価上は変わらないと考えている。 

[関口・ファルマ在日執行委員長]
 すみません、よろしいだろうか。

[遠藤部会長]
 はい、どうぞ。

[関口・ファルマ在日執行委員長]
 先程のお答えで、「(先発品価格が)一気に引き下がった後、後発品の価格差がなくなってしまうのではないか」ということに関して、私どもの理解では、引き下がったことはまた「7掛け」ということで、後発品の薬価が再設定されると理解している。

 1回引き下がっても、後発品の価格も0.7に下がっていくので、「後発品との価格差がなくなってしまうことはない」というご提案になっている。

[遠藤部会長]
 渡辺委員、いかがだろうか。今のお二方からの......。

[渡辺委員(歯科医師会)]
 下がった(価格の)さらに「7掛け」という説明だが、そういった形(安い価格)で、後発品を製造してやっていこうという形ができるのかどうか、非常に心配。

08_日薬連の意見書0603.jpg (日薬連資料8ページの)ピンクで示された現行制度(の急激に下がらない価格推移)は、それはそれなりに、後発品の部分も、ピンクのラインの「7掛け」、これなら会社として開発していけるというところが出てくるのではないか、という気持ちあるので質問した。

[遠藤部会長]
 はい、分かりました。ご納得いただけるのであれば、それで。

 中川委員、どうぞ。

[中川委員]
 先程、聞き忘れたことがある。日薬連の8ページ(研究開発投資の回収と再投資の図)に戻っていただいて恐縮だが......。

中川委員R.jpg 医療界では、相変わらず薬品メーカー1人勝ちという声が続いているが、その上で聞きたい。

 「研究開発投資額の面積(A)」は、国内限定? (中国などアジアでの治験に掛かる費用を含むか)

 また、「販売額の面積(B)」は国内限定というお考えか?

 これは非常に重要なポイントになると思う。

 「グローバル・メガ・ファーマ」を目指すというか、実質的にそうなっているメーカーもあると思うが、「販売額の面積(B)」が国内限定という考えかをぜひお聞かせいただきたい。

[竹中・日薬連会長]
竹中登一会長R.jpg まず、この図を作った背景には、そこまでの細かいことを個別に検討している図ではなく、イメージ。それをご了解いただきたい。

 それから、現在では研究・開発投資は、国際的な臨床開発もやっている。開発した場合には、全部グローバルなお金を考えている。

 「販売額の面積(B)」も、グローバルに販売する、あるいは他社に販売を委託したときでも、グローバルから入ってくるものを考えている。

 また、そうすることがイノベーションを有効に活用することだと思っている。

[遠藤部会長]
 中川委員、よろしいだろうか。では、北村委員、どうぞ。

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