先発品企業が命運を託す「薬価維持特例」(3)―質疑応答
■ 「特許期間中、患者の負担が上がる」―牛丸委員(公益)
[牛丸聡委員(早稲田大政治経済学術院教授)]
(日薬連資料の)12ページ(薬価維持特例の概要)について。
1つ、患者への効果という点でのお考えをお聞かせいただきたい。
「薬価維持特例」の概要は分かったが、患者への効果を考えたとき、特許期間中の価格を(現行よりも)引き上げるということによって、仮にイノベーションの促進が進められれば、新薬の開発等において、患者への便益は上がるだろう。
また、特許期間が切れた後に価格を下げること、これも患者への便益にプラスになると思う。
ただ、「患者」と言ったが、「抽象的な患者」ではなく、「特定の患者」を考えたとき、明らかに、特許期間中の従来(現行の)やり方を変えると、つまり(12ページの)図で言うと、赤がグリーンになるということは、この期間中の薬を受けていた患者さんの負担が上がるということになる。
もちろん、その患者さんは将来的に、イノベーションによる新薬開発とか、あるいは特許期間が切れた後の恩恵を受ける可能性はあるが、先程、どの薬にこれ(薬価維持特例)を適用するかについて説明があった。
そこは私はよく分からないが、該当した薬の場合、特許期間中にこれ(価格)が(現行よりも)上がることによる患者への効果について、どのようにお考えになるのか、聞かせていただきたい。
[遠藤部会長]
はい、お願いいたします。新薬を服用している患者さんの自己負担が高くなる、今の制度よりも。ということだが、それについて、どうお考えになるか。
[庄田・日本製薬工業協会会長]
牛丸委員のご指摘の通り。「薬価維持特例」の該当製品に関しては、患者さんの負担がその期間は増えるという制度。
一方、この制度がなぜ必要か。日本におけるドラッグ・ラグの解消、あるいはアンメット・メディカル・ニーズ、未承認薬、これに、日本の患者さんに製薬企業が研究・開発をしてお届けする、そのために必要な制度である。
トータルに見た場合、患者さんに大いにメリットのある、便益のある制度であるという提案。
[遠藤部会長]
はい。牛丸委員、いかがだろうか、よろしいだろうか。
12ページを開いているので、先程の渡辺委員の質問に関連するが、もしかしたらご説明があったかもしれないが、「薬価維持特例」の下で、特許が切れた後の先発品薬価が、現行の先発品薬価よりも下にある。緑色(の線)。
これ、下にあるのは何がしかの意味があるのだろうか?
つまり、この図では、「薬価維持特例」を導入した場合、特許が切れた後、薬価が今よりも下がる前提に書かれているようだが。これは何か、ご説明あっただろうか。
[長野明委員(第一三共株式会社常務執行役員信頼性保証本部長)]
それでは、専門委員から短くお答えする。
(薬価維持特例を)導入した場合、特許が切れた時点での後発品の使用状況が3割にいっているのか、それ以下なのか、それ以上なのか。それによって当然、国の政策として、中医協のご議論として、先発品の薬価の在り方が再度見直されるだろう......ということも込めて、このようなラインを引いている。
[遠藤部会長]
あの提案を含めた、後の......ということだろうか。分かりました。はい、ありがとうございます。
ほかにご質問、ご意見はあるだろうか。よろしいだろうか。
本日は各団体のトップの方がいらしたので、できるだけ議論をしたいということで、少し予定(の時間)をオーバーしてしまい、申し訳ございませんでした。いろいろな意見が出ているが、時間の関係もあるので、これぐらいで本日はさせていただきたい。
関係団体から頂いたご意見、あるいは今ここで議論したさまざまなディスカッションの内容については、今後、当部会として審議を進める上での重要な参考にしたいと思う。
本日は、日薬連、ファルマ、エフピア、卸連の皆様、どうもありがとうございました、長時間にわたり。
(「ありがとうございました」との声あり)
それでは、本日の薬価専門部会はこの辺りで終了したいと思う。次回の日程について、事務局から何かあればお願いしたい。
[保険局医療課・磯部総一郎薬剤管理官]
薬剤管理官です。次回の日程は未定です。
[遠藤部会長]
それでは、本日の薬価専門部会はこれにて閉会したいと思う。どうもありがとうございました。
(5分間の休憩をはさんで基本問題小委員会へ。以下略)
※ 同日の厚生労働省の会見の模様は、こちらをご覧ください。