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「医療療養病床はICUと類似化」-武久日本慢性期医療協会長が中医協分科会に報告

武久委員.jpg 「今の療養病床はICUと類似化している。違いは疾病に罹患してからの期間」-。武久洋三委員(日本慢性期医療協会会長)は中央社会保険医療協議会(中医協)の「慢性期入院医療の包括評価調査分科会」(分科会長=池上直巳・慶大医学部教授)に対し、慢性期病棟が医療依存度の高い患者の医療や介護ケアを担っている状態だと主張した。(熊田梨恵)

 厚生労働省が6月11日に開いた分科会で武久委員は、次回診療報酬改定の議論のための資料として慢性期医療を取り巻く現状について報告した。
 
 介護療養型病床を有する会員286病院のうち、2008年4月の1カ月間で、一度でも経管栄養を実施したことがある患者が全入院患者のうち35.7%を占め、喀痰吸引が必要になった患者が20.9%いるなど、複数の医療ケアが必要な患者が介護型医療療養病床に入院していた。武久会長は、「(入院患者は)非常に重症で、ICUと類似化している。違いは疾病に罹患してからの期間で、病態として非常に手間がかかるという事では全く同じ状態」と述べた。
 
 また、医療保険療養病床に入院する患者について、医療区分1を重症度別に5段階に区分して経過を追った調査も報告。「医療区分1-1」を最も軽い状態とし、「医療区分1-5」を、ジャパンコーマスケール100以上や末期がん患者など、医療区分1の中で最重度の状態と位置付けた。2006年8月と08年8月を比較すると、「医療区分1-1」の患者数は1.09倍に増えていたが、「医療区分1-5」は1.41倍に増加しており、武久会長は「同じ区分1でも手間のかかる患者さんが増えている」と述べた。
 
 また、療養病床だけでなく、一般病床に90日以上入院している慢性期患者も検討する必要があると主張。現状では75歳以上の患者が一般病床に90日を超えて入院した場合は「特定患者」と見なされ、「一般病棟入院基本料」よりも点数が低い「後期高齢者特定入院基本料」が算定される。ただ、重度の障害があったり、がんの治療中だったりする場合などは「特定患者」を除外されて、一般病棟入院基本料が算定される。病院側はこの"特典"を利用すれば、入院基本料を下げなくても患者を90日以上一般病床に入院させることができるため、武久委員は前回の分科会でも、「病態は変わらない患者さんを違う診療報酬体系で評価することは非常に不公平」と指摘していた。
 武久委員はこの「特定患者」から除外されている患者の1日当たりの診療報酬の平均単価を明らかにし、年間総額を公表するよう事務局に求めた。さらに、一般病床の平均在院日数に算定しなくてもよいとされている病床も含めて、改めて平均在院日数を出すよう要望した。
 事務局はこれに対し、「できるかどうかを含めて検討させて頂きたい」と答えた。
 
 武久会長の報告内容をお伝えする。(以下はすべて武久会長の発言内容)

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