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「開業医の立場ではない」 ─ 中医協で日医委員


■ 「ご確認いただくという趣旨で準備した」 ─ 厚労省
 

[遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授、中医協会長)]
 「平成20年度診療報酬改定の答申に係る意見に関する検討状況等について」を議題とする。事務局(保険局医療課)より資料が提出されているので、説明をお願いしたい。

[保険局医療課・佐藤敏信課長]
 はい、医療課長です。資料は「診─2─1」(平成20年度診療報酬改定の答申書)と「診─2─2」(付帯意見の検討状況)。説明を始める前に、「診─2─1」と「診─2─2」の位置付けについてご説明する。

 今日、これらを出したのは、資料に沿ってご討議をいただきたい、ご検討いただきたいということよりは、ある意味、この辺りで復習をして再確認をお願いするという趣旨。
2008改定答申書付帯意見.jpg と申しますのも、先般、ご説明したように、基本方針については去る7月9日と15日にそれぞれ「医療部会」と「医療保険部会」が開催されて、次期改定についての考え方の議論がスタートした、そういう時期に当たる。

 また「客観的なデータ」という意味では、(厚労省の)「社会医療診療行為別調査」や「メディアス」(医療費の最近の動向)の年間データが出てきたという状況で、いろいろな周辺の環境から見ると、いよいよ議論に資するような定性的、定量的データが集まりつつある。

 また、(改定後の)この間、前回の改定以来、時間をかけてご議論いただいたこともあるので、改めて「診─2─1」(改定の答申書)にあるように、去る(2008年)2月13日に「答申」として頂いた1番から8番までの項目について、この間、どういう風に対応し、どう検討してきたかということをご確認いただく。

 繰り返しになるが、「ご確認いただく」というような意味で、1つの節目のような形でとらえ、「ご確認いただく」という趣旨で準備している。(付帯意見の)1から8までを読み上げることはしないが、1から8に係るこれまでの対応を「診─2─2」に箇条書きの形でまとめている。

 「診─2─2」のポイントをかいつまんでご説明する。まず1番目、初・再診料、入院基本料等の基本診療料に係る議論。(中略)

 ▼ 資料を簡単に読み上げた。資料に記載された付帯意見に関する検討状況は以下の通り。

< 平成20年度診療報酬改定の答申にかかる意見に関する検討状況等 >
 
1 初・再診料、外来管理加算、入院基本料等の基本診療料については、水準を含め、その在り方について検討を行い、その結果を今後の診療報酬改定に反映させること。

○ 平成20年度に、「外来管理加算の意義付けの見直しの影響調査」を実施し、検証を行った。
○ 入院基本料等については、平成20年度検証部会調査として「病院勤務医の負担軽減策の実態調査」を行い、平成21年5月20日の中医協総会にて報告を行った。また、平成21年度調査においては、「7対1入院基本料算定病棟に係る調査」等を実施する予定である。
○ 平成20年6月4日の基本問題小委員会から基本診療料に関する検討を開始し、現在までに下記の通り8回の議論を行っている。

 ▼ 改定直後の08年6月4日の基本問題小委員会で、対馬忠明委員(健保連専務理事)が診療報酬体系全体の議論ができるような資料の提出を求めたが、そのような資料が提出されることはなく、外来管理加算とDPCの議論が長く続いた。
 今年4月15日の基本問題小委員会の議題は「基本診療料」で、ようやく議論に入るかと思われたが、佐藤課長の演説が延々と続いて議論に入れなかった。
 同日の小委で遠藤委員長は、「(改定後の中医協では)初・再診料を中心に2回程度、議論していただいた。前回(3月25日)の基本問題小委では、入院料について議論いただく予定でありましたが、時間の関係で議論することができませんでした。そのような経緯もございますので、本日は入院料について議論をいただきたい」と述べている。本来、今年の3月から議論すべきだった。厚労省の担当者は「DPCの退出ルールなんて入っちゃったから」などと言い訳するが、原因はそれだけではないだろう。8月5日の小委も、「復習」「確認」と称して10分間も時間を割いている。資料説明の時は威勢がいい。しかし、委員からの重要な質問に対する回答を企画官や課長補佐らに丸投げしてしまうのは、そろそろやめた方がいい。

2 後期高齢者診療料等後期高齢者診療報酬体系の創設に伴い創設された診療報酬項目については、高齢者の心身の特性に応じた医療提供に資するものとなっているかという観点から、実施後の状況について検証を行うこと。

○ 平成20年度検証部会調査として、「後期高齢者にふさわしい医療の実施状況調査」を実施し、後期高齢者診療料、後期高齢者終末期相談支援料に関して検証を行った。
○ なお、平成20年7月1日以降、後期高齢者終末期相談支援料は凍結されている。

3 平成20年度改定において「緊急課題」として診療報酬上の対策を講じた病院勤務医支援について、実際に病院勤務医の負担軽減につながったかどうか検証を行うこと。

○ 平成20年度検証部会調査として「病院勤務医の負担軽減の実態調査」を入院時医学管理加算、医師事務作業補助体制加算、ハイリスク分娩管理料のいずれかの施設基準の届出をしている病院に対して行った。
○ 検証部会の報告書においては、1年前と比較して医師個人の勤務状況に関して、医師責任者の37.8%、医師の34.8%が「悪化した」又は「どちらかといえば悪化した」と回答し、医師責任者の13.2%、医師の14.3%が「改善した」、「どちらかといえば改善した」と回答していること等から、病院勤務医の状況はよいとは言えないとされた。
 その一方で、実際に負担軽減策の一環として業務分担を進めている項目について、「静脈注射及び留置針によるルート確保」、「診断書、診療録・処方せんの記載の補助」、「主治医意見書の記載の補助」等ある程度の効果が認められる項目等が見受けられることに鑑みると、引き続き、診療報酬においても、病院勤務医の負担軽減策を実施することが必要とされた。
○ 平成21年4月22日と6月10日の基本問題小委員会において、この検証結果を用いて、入院時医学管理加算、医師事務作業補助体制加算、ハイリスク分娩管理料について議論を行った。

4  診療報酬体系の簡素・合理化について引き続き取り組むとともに、個々の診療報酬項目の名称について国民に分かりやすいものになるよう検討を行うこと。

 平成20年度改定では、類似の内容の項目についての整理や名称の変更等を行った。次回改定においても、よりわかりやすい診療報酬とするため、今後、検討を進めていくことが必要と考えられる。

5 診療報酬における包括化やIT化の進展等の状況変化を踏まえて、診療報酬の請求方法や、指導・監査等適切な事後チェックに資するための検討を行うこと。

○ DPC対象病院は360病院から1283病院へと拡大し、また、その審査については、平成21年1月審査分より、レセプト提出時に包括評価部分に係る診療行為の内容が分かる情報(コーディングデータ)を添付することとした。今後、この審査状況等も踏まえ、引き続き検討を行っていく。
○ 平成21年4月よりレセプト電子請求を行っている400床未満の病院及びレセプトコンピュータを使用している薬局について、レセプトオンライン化が行われている。
○ IT化の進展を踏まえて、平成20年度診療報酬改定において保険医療機関及び保険医療養担当規則の改正を行い、患者から求められたときの明細書の交付を義務づけることで、診療報酬の内容の透明性が増すように対応を行った。

6 医療保険と介護保険のサービスが切れ目無く提供されるよう、引き続き検討を行うこと。

○ 平成20年度診療報酬改定においては、転換老健や居住系施設入所者・入居者に対し、手厚い医療が提供されるようにした。
○ 平成20年9月24日中医協総会において、老健施設入所者に対する処方せんの交付について議論を行った。さらに、その結果を踏まえ、10月22日総会では、老健施設入所者に対して医療保険から算定できる項目等について議論を行った。

 (参考) 平成21年度に介護報酬改定が行われている。

 ▼ ここで、佐藤課長は次のようにコメントした。「今日、この中には書いていないが、例えば、リハビリテーションについて、「必ずしも医療分野と介護分野とで連携が取れていなかったのではないか」、あるいは「ギャップみたいなものがあるのではないか」ということだったが、平成21年度に介護報酬改定で、「短時間・個別のリハビリテーション」に対する評価がなされるなど、リハビリテーションの切れ目ないサービスの提供については、一定の成果があったのではないか」

7 平成20年度診療報酬改定の実施後においては、特に以下の項目について調査・検証を行うこととすること。また、平成18年度診療報酬改定に係る答申における指摘項目のうち、今回の診療報酬改定において未措置のものについても、引き続き調査・検証を行うこと。
(1) 明細書発行の一部義務化の実施状況
(2) 亜急性期入院医療管理料、回復期リハビリテーション病棟入院料の見直しによる医療機能の分化・連携に与えた影響
(3) 回復期リハビリテーション病棟入院料において導入された「質の評価」の効果
(4) 歯科外来診療環境体制加算の創設による効果

○ 上記(1)~(4)については、平成21年度調査項目として、現在検証部会において調査を行っている。
○ 平成18年度診療報酬改定に係る答申における指摘項目のうち、未措置のニコチン依存症管理料について、平成21年度に調査を行い、検証部会で検証する予定である。

8 処方せん様式の変更や、調剤基本料における後発医薬品調剤率要件等今回改定において講じられた後発医薬品の使用促進策について、改訂後における処方・調剤の状況について検証を行うこと。

 平成20年度に検証部会で「後発医薬品の使用状況調査」を実施した。その結果を踏まえて、平成21年5月20日中医協で議論を行った。 平成21年度も同様の調査を実施し、検証部会で検証する予定である。

 以上、駆け足だが、答申書でこれまでどのように議論したか、十分でない所とそうでない所が分かるような形でご提示した。

今後、秋にかけての議論の中で、足りていない所、足りている所、あるいは今すぐできる所、少し時間を待たないとできない所、さまざまあろうかと思うが、これまでの進捗状況について説明させていただいた。以上です。

[遠藤委員長(中医協会長)]
 はい、ありがとうございます。平成20年度(診療報酬改定)の答申案の付帯意見について、これまで議論した内容、進捗状況についての報告。
 (外来管理加算の見直し、明細書の無料発行など)個別の内容についてのご意見、ご質問ということになると、これは恐らく相当に時間を食う話になるので、何か(今後の議論の)進め方、あるいは全体的なご意見、ございますでしょうか。

 はい、藤原委員、どうぞ。

 【目次】
 P2 → 「ご確認いただくという趣旨で準備した」 ─ 厚労省
 P3 → 「勤務医が逃げ出すほど忙しくなっているか疑問」 ─ 藤原委員
 P4 → 「意図的に簡素・合理化してやっと複雑化を抑制できる」 ─ 対馬委員

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