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「開業医の立場ではない」 ─ 中医協で日医委員

■ 「勤務医が逃げ出すほど忙しくなっているか疑問」 ─ 藤原委員
 

[藤原淳委員(日本医師会常任理事)]
 個別......のこと、ちょっと引っかかるのだが......。

[遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授、中医協会長)]
 手短に。

[藤原委員(日医)]
 はい。2点ほど意見を述べたいと思う。(用意してきた資料を読み始める)

 前回(7月29日)の中医協の総会で、平成20年度の概算医療費の動向が報告された。これで、医療費の伸び率は(総計)1.9%、医科の入院では1.9%のプラスだった。(医科の)入院外ではプラス0.2%で、その差は1.7%で、大きいものであることはご承知の方も多いと思う。

 今回(2008年度)の改定で、診療所から病院への財源移転が行われたことが、これが大きな要因ではないかと考えられる。これに関連して、中医協でも、医療現場の声としてこれまで、「診療側の立場で外来管理加算の(5分要件の)見直しが大きく関与しており、診療側から病院へ(当初予定していた240億円を大きく超える)想定外の移転が行われてきたのではないか」ということを申し上げてきた。
 今回の医療費の動向「「メディアス」を見ても(入院外のプラスが0.2%にとどまり)、それがある程度裏付けらてているのではないかと思っている。

 中医協の5月20日の総会で事務局(保険局医療課)から、(外来管理加算の)財政影響は(厚労省の)「社会医療診療行為別調査」を見ないと、これははっきりしたことは言えないということだったが、結果的には、これ(社会医療診療行為別調査)は「メディアス」と大きく乖離していたということで、今、(遠藤会長ら4人で乖離の原因を検証する)ワーキンググループで検討中だが、これはもう早晩、ある程度の結論が出ると思っている。

 これ(外来管理加算)について改めて議論していただいて、(おおむね5分程度の診察を必要とする)「5分ルール」の速やかな撤廃を求める。すぐにでもできることの1つ、(佐藤)課長が今、(秋にかけての議論の中で、今すぐできる所、少し時間を待たないとできない所、さまざまあると)言われたが、(今すぐできる議論の)1つではないかと思っている。

 それは1番目に関係する件だが、3番目として、ここ(資料)には(検証部会の調査結果は)付されていないが、病院勤務医の負担軽減。(医師の34.8%が1年前と比べて)「悪化した」(または「どちらかというと悪化」と回答し、「改善」「どちらかというと改善」の計14.3%を大きく上回った)ということだが、この(検証部会の報告書の)中で、医師の勤務状態を見てみると、(医師1人当たりの1日平均)外来診察患者数は、(医師では平均)28.0人、(医師責任者では平均)32.6人だった。

 それから、(医師1人当たりの担当)入院患者数は、(平均)10.9人。それから、(2008年10月における1か月当たり)当直回数は、(医師責任者の平均)1.61回から(医師の平均)2.78回。それから、アルバイトもされて、(1か月当たりのアルバイトの平均は)2.48日ということ。

 私も20年勤務医をやっていて、この状況......、ま、ここだけの状況を見てみると、これで本当に病院の勤務医師が本当に逃げ出すほど、これ、忙しくなっているのかどうか、ま、そういったことに対しては西澤さん(全日病会長)が......、まぁ、私も勤務医だったことから言うと、疑問を感じるわけだが......。

 昨今、報道されている状況を見ると、確かに忙しい部分もある。それは、恐らく(診療)科の偏在であり、あるいは地域の偏在、そういったことが大きく関与しているのではないかと思う。

 で、開業医に、こう......、これは先の「医療保険部会」でも申し上げたが、(勤務医を辞めて)開業医にどんどん行っているかというと、これは必ずしもそうではなくて、平成16年、平成17年は......、(厚労省の)医療施設の動態調査でも報告されているように、(一般診療所の増加は対前年比で)いずれも1004、1004(施設)ときていたが......(ここで遠藤委員長が発言を遮る)

[遠藤委員長(中医協会長)]
 藤原委員、申し訳ない、ご主張はよく分かるが......。(ここで再び藤原委員が発言を続ける)

[藤原委員(日医)]
 ま、要するに、開業医が激減......、平成20年の10月のあれ(医療施設動態調査)では、(平18年が582施設増、平成19年は825施設増、平成20年は)74(施設の増加)と、(診療所の増加数が)激減しているという状況がある。

 そうなると、これは地域医療全体の疲弊の原因にもなるので、そこのところを......、何を重点的に、これから中医協で考えていくのか、総合的な施策が、私は単に診療報酬を付けるだけではなく、もっといろいろなことを考えるべきではないかということを私は言いたいと思う。

[遠藤委員長(中医協会長)]
 はい、ご意見として承っておく。(西澤委員がすぐに「はい」と発声して挙手) 西澤委員、どうぞ。

[西澤寛俊委員(全日本病院協会会長)]
 今、藤原委員が述べられたことで、あくまでデータだけでの話だが、「勤務医が、果たして言われるように大変なのか」という発言があったが、これに関してはちょっと認識を改めていただければと思う。
 数字だけで見るのではなくて、疑いがあるのであれば、実際......、病院を紹介する。実際、現場を見てから発言していただきたい。

[藤原委員(日医)]
 えーっと......、いや......、あくまでもデータが出たから、それに対してコメントしただけなので、勤務医に対して私はそれなりに理解しているつもりなので、その辺のところは誤解のないように。

[遠藤委員長(中医協会長)]
 いや......。

[藤原委員(日医)]
 開業医の立場で申し上げているわけではございません。

[遠藤委員長(中医協会長)]
 いや、でも、そのように聞こえましたが......。(会場、笑い) それでは......、ほかにございますか。はい、対馬委員、どうぞ。

 【目次】
 P2 → 「ご確認いただくという趣旨で準備した」 ─ 厚労省
 P3 → 「勤務医が逃げ出すほど忙しくなっているか疑問」 ─ 藤原委員
 P4 → 「意図的に簡素・合理化してやっと複雑化を抑制できる」 ─ 対馬委員


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