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医師とメーカーの直接的な関わりを完全排除 ─ DPCヒアリング

■ 「ドクターと業者との交渉はさせない」 ─ あづま脳神経外科
 

[佐藤博委員(新潟大教授、医歯学総合病院薬剤部長)]
 えっと......。あづま(脳神経外科)病院さんにお聞きしたいのですが、新規採用の時には、そう(全部後発品)ですけど、一番問題になるのは切り替えの時の患者さんやドクターの問題ですよね。

 その場合に、医師がきちんと説明した上で、患者さんは......、新規の患者さんの時に先発品から後発品に切り替えるのか、それとも、ある時から日を決めて、「今日から変わりました」というふうにやられているんでしょうか......、その辺......。

 ▼ 弱々しい口調で質問。それもそのはず、佐藤委員が薬剤部長を務める新潟大学医歯学総合病院は、特定機能病院で後発品の使用割合が最も低い(1.3%)。

[あづま脳神経外科病院・辺龍秀院長]
 それは両方です。新規の場合は説明して、「こちらに替えます」という話をします。

[佐藤委員(新潟大医歯学総合病院)]
 新規の場合はそれでいいんですが、薬を切り替える時、患者さんが非常に不安感を持つとか、場合によっては心理的に危険がどうだというクレームが来るので、普通はあまり......。

 先発品を使っていて、ある時、急に、治療をやっている最中にビーッというふうにはしないんじゃないかと思うんですけど、その辺はどのようにして......、やってるかということですが......。

[あづま脳神経外科・辺院長]
 それは......、(随行者席を振り向いて)薬剤科長、ちょっと......。

[あづま脳神経外科・薬剤科長]
 薬剤科長のサトウと申します。ある時にいきなり切り替えるという方法を採っています。その時に服薬指導に入ることはもちろんですが、ジェネリックという言葉はかなり浸透していますので、患者さんもすんなり受け入れるということができています。切り替えることに対して、患者さんの抵抗は思ったよりなかったというのが事実です。

 健康被害......ということではないですが、狙った効果が出ないとか、そういったことも今までありませんし、患者さんから「ジェネリックにしてもらってよかった」という声を多く受けています。なかなか患者さんも、「ジェネリックでお願いします」ということを外来でも薬局でも言えないようですので、「助かった」という意見はよく聞きます。

[佐藤委員(新潟大医歯学総合病院)]
 はい、ありがとうございました。ちょっとついでに関連した質問、よろしですかね。ヒアリング調査票の中で、17年ぐらいから中期目標でやられたということですが、その前に、我々もびっくりしたんですが、「医師個人とメーカーとの直接的な関わりを完全に排除して、薬剤師を○○(聴き取れず)して薬品情報を提供する」というのは......(委員から笑い声)、それは我々もやりたいんですが、具体的にやはり、かなり、どういうような......。

 ▼ 調査票の回答は委員だけに配布されている。傍聴者に配布された資料には、次のような記載がある。

平成20年度の後発品の使用割合が平成19年度と比較して大きく上昇している理由
ア. 新規採用品についてはルールを作り、先発品・後発品を同時に採用せず後発品を優先し、また、医師個人とメーカーの直接的な関わりを排除し、段階的に切り替えを行ったため。
イ. 会社の継続性、製造に当たっての安全確保体制、'情報提供体制等について、多くの医師の参加のもと、後発品製造会社から説明を受けた。
 これにより医師の不安が解消されることとなった。
ウ. 保険医療療養担当規則に則り、後発品の導入に積極的に取り組んできた。
エ. 国の後発品数量シェア30%以上を目標に当院も促進を図っている。
 [あづま脳神経外科・辺院長]
それはですね、私の経験で、勤務医の、この......、MRと医師の癒着っていうのは結構、強いんですよ。(委員や会場、笑い)
でね、お昼時間に食堂に行って見ますと、ドクターが食事していると、MRがぜーんぶ壁に並んで立っているわけですよ。で、まあ、その結果、何が起こるかって言うと、いろんな、あまり言いたくありませんが、いろんな関係が起こるわけで......。

 それをですね、私が開業する時に排除したいと思ったんです。一切排除すると。これは、薬だけではありません。医療材料も全部そうです。一切、ドクターと業者との交渉はさせない。必ず自分が入って、あるいは薬剤の場合は薬剤部が入ってやっていくという方針を開業当初から出したんです。

 税務署の監査もありましたが、「全くそういうことはないね」と褒められたような状態で、これだけは自慢できるなと思っていますが、今後とも、それはしっかりやっていこうと。

 ですから、例えば、ドクターが医療機器を入れたい場合は絶対に1階の事務から上に入れないんですね。事務の中に面談室がありまして、そこでドクターと事務の関係者が一緒に話を聴く。それから、薬剤師が入ってきちんと聴く。そうして、ドクターとメーカー、あるいはMRとの関係をつくらないということにしています。

[佐藤委員(新潟大医歯学総合病院)]
 たぶん、私もそういう......。ちょっと薬剤師の方に聞きたいんですが、そうするとかなり負担も増えますし、MRさんも含めてチェックするためには病棟に常駐するという形で、かなりがっちりやらないといけないと思うんですが、その辺のこう、人数の......、対応など大丈夫ですか?

[あづま脳神経外科・薬剤科長]
 事務の受付で全部チェックしまして、例えば、技術指導の場合は現場に行くことを許可しますが、それ以外はいったんストップをかけています。

[佐藤委員(新潟大医歯学総合病院)]
 はい、ありがとうございました。次は防衛大にお聞きしたいのですが、(分科会長に向かって)よろしいですか? (分科会長、うなずく)
 えっとまあ、防衛大さんも我々の文科省と同じで、上からのご命令ですとかなり動くという現状は分かりましたけれど、今、急激に増えて、19年度(3.5%)から20年度(11.3%)にかけて、7.7%増えたということですが、大学病院さんですから薬価が高いものがどんどん入ってきて、どんどん採用すると、金額ベースでは逆に下がるという傾向もあると思います。
 この11%をさらに30%ぐらいに上げるように言われる可能性があると思うのですが、その際の方策とか、ございますか?

[防衛医科大学校病院・望月英隆病院長]
 今のところはですね、やっぱり毎年毎年、経営努力としてジェネリックを増やしていかなければいけないと思っていますが、アッパー......、「一番到達すべきパーセントは何パーセントか」というのは、まだ具体的な数値は持っていません。そんなところでよろしいですか?

[佐藤委員(新潟大医歯学総合病院)]
 はい。(しばらく沈黙)

[相川直樹委員(財団法人国際医学情報センター理事長)]
 (ようやく順番が来たという感じで)えーっと、山形大学......にお聞きしたいんですが、調査票の記入欄では、「統一的に安全性が確立されていないため」ということが書かれている。(以下略。続きはこちら
 
 
 
 (この記事へのコメントはこちら)

 【目次】
 P2 → 「中・長期事業計画」を作っている」 ─ あづま脳神経外科
 P3 → 「各診療科も納得している」 ─ 防衛医科大
 P4 → 「ドクターと業者との交渉はさせない」 ─ あづま脳神経外科

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