認知症対策も「ハコモノ」か
■ 「システム、体制の整備が重要」 ─ 厚労省課長
[遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授、中医協会長)]
(資料説明の後で)はい、ありがとうございました。それでは、ただ今の報告について、ご意見、ご質問があればご自由に。はい、小林委員、どうぞ。
[小林剛委員(全国健康保険協会理事長)]
認知症の方が増えている中で、早めに専門医療機関に紹介することは非常に良いことだと思います。そういう意味で、前回(改定で)、診療所が取れる点数(診療情報提供料)が新設されました。
(地域のかかりつけ医が専門病院に紹介するという)方向性としては非常に良いと思いますが、やや算定件数が200件というのは少ないような気がしますが、これについては、現場での算定要件の受け止め方とか、あるいは「認知症疾患医療センター」とか、専門医療機関の数が不足しているのか、その辺のデータや考え方についてお聞かせください。
[遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授、中医協会長)]
事務局(保険局医療課)、よろしくお願いいたします。
[保険局医療課・佐藤敏信課長]
医療課長でございます。ちょっと私どもの直接の担当ではないので難しいところもあるんですが、算定要件うんぬんと言うよりは、「認知症疾患医療センター」を全国に150か所(を目指す)と言っておりますが、今、実際には50ぐらいしかできていないようです。
ですから、もう少し目標通りに整備されるということ、そして、かかりつけ医に鑑別診断をしてもらって、あるいは具体的な診断法について相談するという体制がまだまだ十分ではない。むしろ、システム、体制の整備が重要だと思います。
▼ 救急など他の分野もそうだが、「システム」とか「体制整備」という言葉を好んで使うのはなぜだろう。補助金との絡みだろうか。むしろ診療報酬できちんと評価した上で、現場の裁量に委ねたほうがうまく回るような気がする。机上の論理で絵を書いて、それに無理矢理はめ込もうとするから進まないのではないか。もちろん、「体制整備」や「システム化」それ自体が悪なのではない。現場の意見を十分に踏まえた上で進めないから駄目なのだろう。患者、国民、医療現場を中心にせず、常に「自分たち」を中心に政策を形成するから歪むのだろう。
【目次】
P2 → 「センターの鑑別診断が大変重要」 ─ 厚労省課長
P3 → 「システム、体制の整備が重要」 ─ 厚労省課長
P4 → 「固定的なADL評価は難しいだろう」 ─ 安達委員
P5 → 「近くの病院に紹介すれば取れる仕組みに」 ─ 鈴木委員
P6 → 「区分の方向はいいが、実態調査を」 ─ 白川委員
P7 → 「通常のADL区分より広い概念がある」 ─ 佐藤課長
P8 → 「地域の中小病院に手厚い診療報酬上の対応を」 ─ 嘉山委員