認知症対策も「ハコモノ」か
■ 「近くの病院に紹介すれば取れる仕組みに」 ─ 鈴木委員
[鈴木邦彦委員(茨城県医師会理事、日本医療法人協会副会長)]
「認知症疾患医療センター」が全国に51か所しかないということですが、それも各都道府県によって偏りがありまして、1つの県に何か所もある県もあれば、私どもの県のようにゼロのような所もあります。
「紹介しようにも紹介先がないという」ということもありますが、実際には多くの認知症の方をそういうセンターまでお連れして通わせていたら大変なことになります。実際は近くの精神病院さんとか、そういう所で診断・治療していただくのが実情でございますので、やはり(センターという)高度医療とは違うような感じがしますので、もうちょっと気軽に......。
ご本人も、「どこに連れて行くんだ」という感じになりかねませんから、もうちょっと近くの病院に紹介すれば、こういったもの(診療情報提供料)が取れるような仕組みにしたほうが普及しやすいのではないか。(算定が)200件というのは、いみじくもそういう問題点を表しているのではないかと思います。
▼ 厚労省が考える認知症の医療体制は、「専門医療」「一般医療」「介護」の3区分。「専門医療」を担うのは全国51か所の「認知症疾患医療センター」で、▽早期の鑑別診断・確定診断、療養方針の決定・見直し ▽BPSD(認知症の行動・心理症状)に対する介護的支援・医療の提供 ▽身体疾患に対する医療の提供─などを行うとしている。「一般医療」は、▽身体疾患に対する医療の提供 ▽かかりつけ医による認知症に対する外来医療で、「介護」はADLの低下やIADLの著しい低下に対する介護的支援の提供。つまり、精神科の専門医療を行う機関として「認知症疾患医療センター」を位置付けている。
[遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授、中医協会長)]
ありがとうございます。白川委員、どうぞ。
【目次】
P2 → 「センターの鑑別診断が大変重要」 ─ 厚労省課長
P3 → 「システム、体制の整備が重要」 ─ 厚労省課長
P4 → 「固定的なADL評価は難しいだろう」 ─ 安達委員
P5 → 「近くの病院に紹介すれば取れる仕組みに」 ─ 鈴木委員
P6 → 「区分の方向はいいが、実態調査を」 ─ 白川委員
P7 → 「通常のADL区分より広い概念がある」 ─ 佐藤課長
P8 → 「地域の中小病院に手厚い診療報酬上の対応を」 ─ 嘉山委員