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ニュース〜医療の今がわかる

療養病棟の救急受け入れ、反対続出 ─ 11月20日の中医協

■ 療養病棟の課題 ─ 資料のポイント
 

○ 患者1人1日当り費用
 → 1万7735円(08年度調査)。

 ▼ 08年度では合計費用が06年度より増加傾向であるが大きな変動はなし。内訳では、人件費・材料費が増加、委託費が減少。

○ 患者1人1日当り収入
 → 1万8120円(08年度調査)。

 ▼ 入院時食事療養費を加えた場合の収入。06年度と比較すると、入院基本料の収入が減少。入院基本料等加算、出来高部分、リハビリ等の収入は増加している。

○ 患者分類ごとの患者1人1日当たり収入・費用差
 → 「医療区分1」が赤字。

 ▼ 「医療区分1」の「ADL区分1」はマイナス829~1952円、2はマイナス3034~3532円、3はマイナス2872~2887円。

○ 療養病床の有無と損益状況
 → 療養病床のある病院のほうが黒字。

 ▼ 「療養病床を有しない一般病院」と「療養病床60%以上の一般病院」とを比較している。

○ 10年間の救急搬送人員の変化(年齢・重傷度別)
 → 説明を省略した。

 ▼ 1997年から2007までの10年間で、軽症、中等症、重症の伸びを比較。軽症、中等症の増加が目立つのは高齢者。

○ 療養病床における救急患者の受入状況
 → 「救急受入れ患者ではない」のが86.9%。「救急車による救急受入れ患者」は3.4%と少ない。

 ▼ 佐藤課長は、「救急車で来た救急患者を(療養病床で)受け入れている割合はそう多くはないが、これだけ救急車の出動回数が増えていて後方病床が足りない中で、(療養病床が)一定の役割を果たせるのではないかというのが関係者の意見のようです」とコメントした。

○ 救急医療機関と療養病棟の連携を目指した取組み例
 → 東京都3次救急病院と療養型病院の連携、大阪府緊急連携ネットワークを紹介。

○ 治療・ケアの内容の評価(経緯)
 → 06年度の「慢性期入院医療の包括評価調査分科会」(分科会長=池上直己・慶大医学部教授)で、QI(Quality Indicator)を用いた質の評価を提言、08年度からQIのうち4分野が導入された。

 ▼ 病棟単位での継続的な測定・評価が義務付けられている。現在、評価表の提出義務はないが、次期改定で提出が義務付けられる見通し。同日、厚労省が示した論点では、「医療サービスの質的向上に取り組む療養病棟に対する評価について、どう考えるか」としており、質の評価の導入については合意を得た。評価表について佐藤課長は、「医療関係者の自覚をうながすという形になっている。現在は、これ(評価表が)添付されていないから何か罰則があるとか、(入院基本料が)支払われないということはない」などと説明した。

○ 現行の診療報酬上の評価
 → 08年度改定で、「療養病棟入院基本料」を全体的に引き下げたほか、褥瘡評価実施加算(1日15点)を新設した。また、病棟単位で治療・ケアの質を反映できる事項について継続的に測定・評価することを義務付けた。
  ただ、現時点では要件の充足状況を示す書類などの提出義務はない。

○ 論 点
1 急性期医療、在宅医療及び介護施設の後方病床としての療養病棟の機能に対する評価について、どう考えるか。
2 軽症・中等症の救急患者を受け入れている療養病棟に対する評価について、どう考えるか。
3 医療サービスの質的向上に取り組む療養病棟に対する評価について、どう考えるか。

 ▼ 療養病棟の救急受け入れ機能や、一般病棟の後方支援としての役割を評価する可能性を示したことは妥当。ただ、「亜急性期」にこだわる病院団体が余計な口出しをして邪魔をしなければいいのだが......。


【目次】
 P2 → 療養病棟の現状 ─ 資料のポイント
 P3 → 療養病棟の課題 ─ 資料のポイント
 P4 → 「救急のメーンは一般病床あるいは急性期」 ─ 鈴木委員
 P5 → 「システムを直せば三次救急のミスマッチはなくなる」 ─ 西澤委員
 P6 → 「軽症・中等症の救急受け入れは『亜急性期』で」 ─ 西澤委員
 P7 → 「赤字の区分は診療報酬体系として大変おかしな形」 ─ 安達委員
 P8 → 「新型インフルで療養型が大変ありがたかった」 ─ 坂本専門委員
 P9 → 「区分1を上げないと機能しない」 ─ 安達委員

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