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ニュース〜医療の今がわかる

療養病棟の救急受け入れ、反対続出 ─ 11月20日の中医協

■ 「救急のメーンは一般病床あるいは急性期」 ─ 鈴木委員
 

[遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授、中医協会長)]
 (佐藤課長が説明を終えて)はい、ありがとうございます。それでは、療養病床から議論を進めていきたいと思います。事務局(保険局医療課)から「論点」が出ておりますが、「論点」以外のことでも結構でございます。「論点」でも結構でございますので、ご発言ありますか。鈴木委員、どうぞ。

[鈴木邦彦委員(茨城県医師会理事、日本医療法人協会副会長)]
 まず、療養病床ですが資料の14、15番(患者1人1日当たり収支)ですね。「療養病床は収益が上がっているじゃないか」と言う人もいますが、収入から費用を引くとわずか1日385円。これで、「儲かっている」と言われるのが日本の医療の貧困さを象徴していると思います。「論点」ですが......。

○ 論点
1 急性期医療、在宅医療及び介護施設の後方病床としての療養病棟の機能に対する評価について、どう考えるか。
2 軽症・中等症の救急患者を受け入れている療養病棟に対する評価について、どう考えるか。
3 医療サービスの質的向上に取り組む療養病棟に対する評価について、どう考えるか。
 多くの病院が療養病床を持っています。私も会員になっていますが、日本慢性期医療協会(武久洋三会長)の話を聴きますと、療養病床の役割として、(論点)1にあるような、急性期医療、在宅医療、そのほか緩和ケア、認知症、維持期リハ、難病などを挙げています。

 論点2、「軽症・中等症の救急患者を受け入れている療養病棟に対する評価について、どう考えるか」とあります。私も会員なのでいろいろな情報が入ってきますが、療養病床でどうしてそういうことが可能なのか、私は非常に疑問に思いまして、実際にやっている病院に研修で行って聴いてまいりました。

 資料25番にあるように、(救急医療機関と療養病床のモデル連携を)東京と大阪でやられたとのことですが、東京では(三次救急病院が)1施設でわずかですが、大阪では(三次救急病院)10施設、慢性期病院33施設ということです。大阪の2病院の研修で話を聴いてきました。(中略)

 2病院のうち1病院は、確かに療養病床で受け入れているのですが、院長の考え方は急性期病床の考え方と同じで、私が見るところでは、「ちょっと無理をしてやっているのかな」という感じがいたしました。療養病床が多い所では、療養病床の中で機能分化が起こってくるのかなという気がしました。

 もう1つの病院は、療養病床もありますが、病院の中の一般病床でいったん受け入れて、それから療養病床に行くということでした。私も現実的には、日本中にそういうものを適用することを考えますと、地域の「一般病床」で受け入れるのが良いのではないか。療養病床にはそれ以外の部分の役割のほうがより多くあるのではないかという気がいたします。

 ▼ 診療報酬で評価される機能は多ければ多いほど良いと思うのだが、どうしてわざわざこんな発言をするのか疑問。「医療財源には限りがある」という考え方を前提としているならやむを得ないが......。ちなみに、パンデミック対策をどう考えているのか。

 ただ、療養病床の機能として、例えば、高度急性期の病院に24時間体制でどんどんどんどん患者が送られてきて、その中に民間中小病院の一般病棟で診られるような患者さんもかなりいますので、そういった患者さんを早期に地域の中小病院に、あるいは療養病床でも受けられる所も一部あるかもしれませんが、そういった所でトリアージ的な感じでいったん受け入れていただいて、早期に転出していくようなシステムができますと、確かに高度急性期を担う病院の負担軽減になると思います。

 ▼ ここをもっと強調すべき。

 それからもう1つは、「在宅療養支援病院」のような役割は、療養病床を持っている病院が非常に向いていると思いますので、そういう方向で話が進む分には良いと思いますが、救急の評価というのは......。
 確かこれ、点数を要望していると思います。1日200点など。「今のままでやる」と言っているわけではないと思います。実際には看護基準などが充実している病棟、病床で(救急患者を)受けたほうがいいと思います。やっぱりメーンは一般病床、あるいは急性期、そういった所かなと思います。

 また、論点3については、これはもう、質的向上に取り組むということは非常に重要でございますので、ぜひ療養病床でも評価していただければと考えています。

 ▼ 安易に賛成するのが信じられない。質の評価やアウトカム評価は、上乗せ部分の「加算」のような形で入るなら良いが、実質的に診療報酬引き下げにつながる恐れもある。ところで素朴な疑問だが、「質」というものを客観的な基準で測れるのだろうか。医療に限った話ではないが......。

[遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授、中医協会長)]
 はい、ありがとうございました。1つ確認ですが、(論点)2番(軽症・中等症の救急受け入れ)については、「むしろ一般病床がやることではないか」というお話だった。

 3番についても、現状(質の評価の)インデックスができているわけですが、これを使うかどうかは別として、「質的な評価を(診療)報酬に反映させるということは賛成である」という理解でよろしいでしょうか?

 ▼ 重要な確認。

[鈴木邦彦委員(茨城県医師会理事、日本医療法人協会副会長)]
 質的な評価を行うことは必要でありますし、まあ、それが(診療報酬上の)評価に結び付くような方向については必要ではないかと思います。

 ▼ 衝撃的な発言。日医執行部の3人がいたら、こんな簡単には通さなかっただろう。しばしば、日本医師会が開業医の利益偏重に走っていると報じられることがあるが、日医は開業医の利益を優先して守ったのであり、勤務医の利益擁護まで手が回らなかったとの指摘もある。つまり、「開業医」という範囲ではあるものの、医療費削減策に歯止めをかけてきたことを評価する見方。今後は、財務省主導でやりたい放題だろうか。行政刷新会議の「事業仕分け」について業界記者の間では、「財務省は悪乗りし過ぎ」との声も出ている。

[遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授、中医協会長)]
 (論点)1番(後方病床としての機能)はどういうお考えでしょうか。

[鈴木邦彦委員(茨城県医師会理事、日本医療法人協会副会長)]
 1番のほかにも、ですから、緩和ケア、認知症、維持期リハ、難病と言っているんですよ。その1つとして(急性期の後方機能を)位置付ける。急性期病床がメーンにはならないと思いますが、1つの役割としてはですね。(中略)

 ▼ 遠藤会長が、「急性期医療、在宅医療及び介護施設の後方病床」の意味を確認。事務局(保険局医療課)は、「急性期医療の後方病床」という機能も含まれる意味と回答。

[遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授、中医協会長)]
 だから、(急性期の後方病床は)今やっていることですよね。

[鈴木邦彦委員(茨城県医師会理事、日本医療法人協会副会長)]
 ええ、そうです。

[遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授、中医協会長)]
 さらに、これに加えて緩和ケアなども含めたらどうかという位置付けですか?

[鈴木邦彦委員(茨城県医師会理事、日本医療法人協会副会長)]
 それは、(日本慢性期医療)協会で言っているということです。

[遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授、中医協会長)]
 そうですか、分かりました。西澤委員、どうぞ。


【目次】
 P2 → 療養病棟の現状 ─ 資料のポイント
 P3 → 療養病棟の課題 ─ 資料のポイント
 P4 → 「救急のメーンは一般病床あるいは急性期」 ─ 鈴木委員
 P5 → 「システムを直せば三次救急のミスマッチはなくなる」 ─ 西澤委員
 P6 → 「軽症・中等症の救急受け入れは『亜急性期』で」 ─ 西澤委員
 P7 → 「赤字の区分は診療報酬体系として大変おかしな形」 ─ 安達委員
 P8 → 「新型インフルで療養型が大変ありがたかった」 ─ 坂本専門委員
 P9 → 「区分1を上げないと機能しない」 ─ 安達委員

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