療養病棟の救急受け入れ、反対続出 ─ 11月20日の中医協
■ 「システムを直せば三次救急のミスマッチはなくなる」 ─ 西澤委員
[西澤寛俊委員(全日本病院協会会長)]
論点の1(後方病床としての機能)ですが、鈴木先生とほとんど同じです。(論点)3のQI(質の評価)は当然のことなので、これは進めていただきたいと思っています。
まず、その前に資料の24(療養病床の救急受入)と25(救急医療機関と療養病棟の連携)ですが、例えば、「療養病床の救急受入状況」(の資料)で、「医療区分1」で救急受け入れというのはどうしてもイメージが分からないので、もうちょっと詳しいデータを出していただきたいと思います。本当の意味での救急患者を受け入れているのか、救急車で来たから「救急患者」とは限りませんので、そこら辺の資料を出していただきたい。
▼ 厚労省は11月18日のDPC評価分科会で、「新たな機能評価係数の具体案(たたき台)」を示した。この中で、救急受け入れを評価する指標として2つの案を提示。案1は「救急患者割合をもとに連続的評価」、案2は「一定の基準(患者数や人員配置等)を満たす場合に一律の評価」としている。案1の「救急患者割合」は、「救急車あり又は入院初日の初診料において時間外・休日・深夜加算ありのDPC対象患者数/DPC対象患者数」という複雑な計算式で、小児や産科の救急患者の場合には数倍してカウントする。同分科会では、まだ意見集約できていない。
それから、(資料25「救急医療機関と療養病棟の連携」で、「3次救急にミスマッチな患者が搬送(されたときに、速やかに治療可能な慢性期病床を持つ病床が受託する)」とあるが、すなわちこれはどういう問題かと言うと、療養病棟で論じるのではなくて、救急体制で、どうして三次救急にミスマッチがいるかということです。
要するに二次救急、あるいは一次救急、そういう所がどんどんやめていっているので、そこ(三次)に行ってしまう。そこの「システム」を直すことのほうが大事であって、そこが直ればこういうミスマッチがなくなるんですから、「直接、療養病棟へ」はあり得ないんじゃないかなと思っています。
▼ 非現実的な意見。「医療区分1」の点数を上げ、かつ療養病床の救急受け入れに点数を付ければ三次救急のミスマッチは減るだろう。「医療区分1」の点数が低いから、ケアミックス病院の患者選別が進んでいる。例えば、DPC算定病床が40床、療養と回復期リハが約300床という病院では、DPC病床が埋まっているときはいったん回復期リハで受け入れて、DPC病床が空くのを待って転棟させる。確かに、「一般」で受けてから「療養」に移すほうが形としては"美しい"が、実際には「療養」や「回復期」で受けておいて、それから「一般」に移す運用がある。ここも評価しないといけない。「亜急性期」の評価に拘泥して切り捨てることはない。医師や看護師不足でDPC病床を多く持てない地方病院では、「療養 → 一般」というやりくりもあるのではないか。もし、病院団体として中小病院の利益を守ろうとするなら、「医療区分1」の点数を上げること、かつ療養病床の救急受け入れに点数を付けることを主張すべきではないか。西澤会長は、「亜急性期」の評価にこだわりすぎて実態を無視している。
ミスマッチの患者、本来であれば三次救急に行かなくていい患者、療養病棟でいい患者が(三次救急に)行くのであるから、それは療養病棟で受け入れるのは当たり前だと思っております。
ということで、それともう1つ。療養病床ではなく、「慢性期病床を持つ病床が受託」という辺りはちょっと(表現が)いい加減なので、先ほど鈴木先生の言い方では、(療養病床を)持っている病院の一般病床で受け入れている例もあるんじゃないか。その辺りのデータも出していただかないと私たちは議論できないと思います。
▼ 資料25「救急医療機関と療養病棟の連携」で、大阪府緊急連携ネットワークの目的として、「3次救急にミスマッチな患者が搬送されたときに、速やかに治療可能な慢性期病床を持つ病床が受託することにより、3次救急の病床回転数を改善」とある。ところで、「(療養病床を)持っている病院の一般病床で受け入れている例もある」と言うが、むしろこれがメーンではないか。
【目次】
P2 → 療養病棟の現状 ─ 資料のポイント
P3 → 療養病棟の課題 ─ 資料のポイント
P4 → 「救急のメーンは一般病床あるいは急性期」 ─ 鈴木委員
P5 → 「システムを直せば三次救急のミスマッチはなくなる」 ─ 西澤委員
P6 → 「軽症・中等症の救急受け入れは『亜急性期』で」 ─ 西澤委員
P7 → 「赤字の区分は診療報酬体系として大変おかしな形」 ─ 安達委員
P8 → 「新型インフルで療養型が大変ありがたかった」 ─ 坂本専門委員
P9 → 「区分1を上げないと機能しない」 ─ 安達委員