DPC病院の延命は"ブラックボックス" ─ 調整係数廃止で
■ 「かなり理論武装しなきゃいけない」 ─ 西岡分科会長
[小山信彌分科会長代理(東邦大医療センター大森病院心臓血管外科部長)]
この図を見て、ぼくはすごく安心というか......、ずっとこれを議論してきたわけですよね。今までの「調整係数」のうち、(新たに導入する機能評価係数に置き換える)パーセンテージはいろいろ議論があるでしょうけれども、「(新たに導入する)機能評価係数」が70%ぐらい、前年度の収入(実績を保証する部分)が30%ぐらい寄与しているのかなと思ったんですよ。
その70%を精緻化して、(機能の評価などを)するんだけれども、すべて機能係数にするということはどう議論しても難しいと思うんですね。そういった意味で、考え方として「基礎係数」ということを正式に認めてもらえたことは、ある意味、DPCをやっている病院にとっては一安心かなという思いがします。
機能は機能でちゃんと評価していただいて、その機能で十分評価できない所を「基礎係数」という言い方で評価するんだいうふうにぼくは今、理解しています。そういう意味で(木下)先生が心配されているような所はまさにこれによって担保されていると私は理解しています。(中略。今回、落選した診療ガイドラインの復活を求める意見などあり)
▼ 小山先生のように楽観視する人もいるだろう。「基礎係数」が病院の経営安定化を図る保証機能を果たせばいいのだが、単なる「最低水準の保証」かもしれない。基本問題小委員会の委員はそこまでウラ読みするだろうか。日医執行部がいないのでうまく騙せるかもしれない。問題は、安達秀樹委員(京都府医師会副会長)、嘉山孝正委員(山形大学医学部長)、鈴木邦彦委員(茨城県医師会理事)がどう出るか。
この日、いつも事務局(保険局医療課)席にいる西澤寛俊委員(全日本病院協会会長)は欠席。オブザーバーの邉見公雄氏(全国公私病院連盟副会長)の姿もなかった。
[西岡清分科会長(横浜市立みなと赤十字病院長)]
「調整係数」、「暫定調整係数」、「基礎係数」とこう並べるとですね、やっぱり裏を探られるようなところがありますので......(委員ら、ニヤニヤ笑っている)、それらの良いネーミングをやはり考えていただく必要があると思うんですが......。
それともう1つは、もしこの(基礎係数の)考え方が(基本問題小委員会で)「いいだろう」ということになりましたら、さらにこの「基礎係数」の部分をもっと議論を詰めていくという形になろうかと思います。
これ(基礎係数)に対して、さらに理論武装をしないとですね、「調整係数に戻るだけじゃないか」というふうなことを(基本問題小委員会で)言われことがありますので......。
実際には、「どうしても機能係数に代えられないものがある」というのはこの委員会の皆さん、お気づきのことでございますし、それとまた、医療機関の特長ないし、活動を評価しなければいけないということもありますので、そういったものをぜひとも考えて議論していただけたらと思いますが、(笑いながら)企画官、追加をお願いします。(隣の小山代理も、「へへへっ」と笑っている)
[保険局医療課・迫井正深企画官]
(前略)今、明らかに脱却しようとしているのは、単純に過去の前年度、あるいは過去の実績を単純に補填するシステムからは脱却しようということが明示できるようにシステムを移行していきたい、そういうことなんだろうと思います。
この「基礎係数」の設定の仕方は繰り返しになりますが、「定数」というやり方もあるでしょうし、あるいは全く同じ人員、全く同じハコモノをバーチャルでですね、例えば東京のど真ん中にあるものを突然過疎地に持って行ったときに、同じようなパフォーマンス、同じような医療ができるわけがない。
▼ ぜひ、そのセリフを外口崇・前医政局長の前で言ってほしい。
そういった在り方をどう評価するのかという、ま、ここは本質論になっていると思いますから、そういったことをやはり時間をかけて議論していかないと......、ま、そういうことで理解をいたしまして、そういうことのオプションの提示も含めましてですね、今後も少し議論していく必要があるのではないかな、こういうことでございます。
[西岡清分科会長(横浜市立みなと赤十字病院長)]
(挙手した酒巻委員へ)どうぞ。
[酒巻哲夫委員(群馬大医療情報部教授)]
前年度の(収入実績を)保証(する)ということで、今まで「調整係数」があったということであれば、新たな「基礎係数」、こういう「係数」の設定については、ある意味での未来を保証する......、保証してはいけないんですね、未来を切り開くような点数設定にしてほしい。
▼ 中小病院に点数を付けると未来が切り開けないという立場。酒巻委員は大病院優遇の立場でずっと一貫している。
そこが一番重要なことだと思うんですね。前年度(の収入実績)を保証するのではなくて、前向きに物事を持っていくような仕掛けにする。そうでないと、私たちが一生懸命議論してきた救急医療に対するいろいろなものが台無しになってしまうので、あくまでも未来に向かって切り開きたいというのが私の強い希望です。
▼ 崩壊に向かっているのではないか。
[西岡清分科会長(横浜市立みなと赤十字病院長)]
ありがとうございます。ほかに、「どうしてもこの場で言っておきたい」という方はいらっしゃいませんでしょうか。はい、どうぞ。
[伊藤澄信委員(独立行政法人国立病院機構医療部研究課長)]
やっぱり、「(前年度の)所得保証は係数ではない」というのは言わないと、この何年も議論してきたのが、(基本問題小委員会で)「何をやってきたの?」と言われるのではないか。「そこは違うんだ」というのをどこかで言い切っていただきたいなあと思います。
▼ それは嘘を付くことになるので、良くないことだと思います。
[西岡清分科会長(横浜市立みなと赤十字病院長)]
ありがとうございます。大事なことだと思います。ほかに、ご意見、ございますでしょうか。そういたしましたら、あの......、この一番最後の表については基本問題小委員会で説明するときに、かなり理論武装しなきゃいけないんじゃないかというふうに自覚しておりますが......。(他の委員も、苦笑い)
今日、頂きましたご意見を事務局(保険局医療課)でまとめていただきまして、それを私のほうで確認させていただいて、基本問題小委員会にご報告させていただきたいと思います。それで、よろしいでしょうか? (了承)
ありがとうございました。それでは、本日の議論は以上とさせていただきたいと思います。事務局のほうから連絡事項がありましたらお願いします。
[厚労省保険局医療課・長谷川学課長補佐]
次回の開催につきましては、追ってご連絡させていただきます。
[西岡清分科会長(横浜市立みなと赤十字病院長)]
それでは、平成21年度第14回診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会を終了させていただきます。本日は、お忙しいところありがとうございました。(散会)
▼ こんな分科会、廃止してしまえ。
【目次】
P2 → 「調整係数の段階的廃止」について ─ 資料説明
P3 → 質疑① ─ 「移行期間は『暫定調整係数』で最低水準を保証」(企画官)
P4 → 質疑② ─ 「激変緩和をどう設定するかで条件が変わる」(企画官)
P5 → 質疑③ ─ 「時間をかけて、在るべき姿を議論」(企画官)
P6 → 質疑④ ─ 「"ブラックボックス"を設定するつもりではない」(企画官)
P7 → 「かなり理論武装しなきゃいけない」 ─ 西岡分科会長