差別医療か、平等な医療か
■ 「75歳以上だけ厳しく退院を迫る制度は廃止すべき」 ─ 鈴木委員
[鈴木邦彦委員(茨城県医師会理事、日本医療法人協会副会長)]
最初に後期高齢者医療制度についてですが、私たち茨城県医師会は「年齢によって一律に高齢者を差別するものだ」ということで反対してきたわけですが、廃止に決まったことは良かったと思っています。(中略)
今、話に出ました「後期高齢者特定入院基本料」ですが、これも基本的に、75歳以上だけ厳しく退院を迫るという考え方の制度はよろしくないと思いますので、これは廃止すべきだろうと考えております。
[遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授、中医協会長)]
「廃止」という意味合いですが、これはもともと平成10年に「老人長期入院医療管理料」として75歳以上の方々を対象に行っていたこと(入院90日以上で減額)をですね、この後期高齢者医療制度が導入された時にですね、その緩和措置を(障害者病棟の対象患者から脳卒中の後遺症患者らを除くことに対応させる形で)一部厳しくしたという形なんです。
ですから、「廃止」と言われるのは、平成10年の「老人長期入院医療管理料」のレベルに戻すのか、そもそもそれも年齢で分けているので、それ(年齢区分)すら廃止すべきなのか、そのどちらをおっしゃっているのか、ちょっとはっきりしてください。
[鈴木邦彦委員(茨城県医師会理事、日本医療法人協会副会長)]
後期高齢者に限るものはもちろん廃止すべきだし、元からあったものに戻すということではなくて、やはり患者の実際の状態によって決めるべきであって、一律に90日で退院を迫るようなものは、"受け皿"がない時点では非常に問題がある。もともとの制度自体がですね......。
[遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授、中医協会長)]
分かりました。そうしますと、平成10年に創設されました「老人長期入院医療管理料」と言われるものも基本的には廃止の対象と考えるべきだと、こういうご意見だと? (鈴木委員、うなずく)
当然のことながら20年度以降についても廃止だということですね、はい。安達委員、どうぞ。
【目次】
P2 → 「後期高齢者に係る診療報酬」 ─ 4つの論点
P3 → 「論点が分かりづらい」 ─ 遠藤会長
P4 → 「75歳以上だけ厳しく退院を迫る制度は廃止すべき」 ─ 鈴木委員(診療側)
P5 → 「受け皿をつくらないと解消しない」 ─ 安達委員(診療側)
P6 → 「高齢者は独特の病状」 ─ 白川委員(支払側)
P7 → 「受け皿の心配は全くない」 ─ 西澤委員(診療側)
P8 → 「無意味に近い延命に医療資源を投入している」 ─ 邉見委員(診療側)
P9 → 「高齢者が亡くなるときは大往生、若い人と違う」 ─ 嘉山委員(診療側)
P10 → 「人権侵害があってはいけない」 ─ 勝村委員(支払側)
P11 → 「まともにやっている医師が被害」 ─ 嘉山委員(診療側)
P12 → 「家族も含めた医療を進めるため評価すべき」 ─ 勝村委員(支払側)