差別医療か、平等な医療か
■ 「高齢者は独特の病状」 ─ 白川委員
[白川修二委員(健保連常務理事)]
そもそも、後期高齢者だけを対象にした報酬体系がおかしいというご指摘があって議論になっているわけですが、この「(後期高齢者)特定入院基本料」について、確かに運用上いろいろ考える問題があったと思いますし、安達先生がおっしゃるように受け皿の問題もあるというのは十分承知はしておりますけれども......。
ま、そういう話を全部総合すると、簡単に言えば、「年齢による差を付けちゃいかん」と言うのでしたら、「高齢者など構わず全部同じ制度にしろ」というのが簡単な結論だと思うんですけれども、現実はやはり高齢者はどうしても......(医療費が掛かる)、(複数の疾患を抱えるなど)「独特の病状」と言いますか、あの......、(複数の医療機関を受診するなど)「厚い診療が必要だ」という現状もございますし......。
▼ 自身が高齢者なのに、よくもこんなセリフが吐けたものだ。自分は金がある高齢者なので安泰だということか。金があれば病院を追い出されないし、十分なリハビリも受けられる。金があれば救急の"たらい回し"も受けない。社会的地位や財産で、受けられる医療サービスに違いがある国はおかしくないか。もちろん、あらゆる無駄を省いた上で、「どうあがいても国のお金はこれしか残っていません」と言うなら、給付と負担の問題を真剣に議論しなければならないが、「国の無駄遣いがあるはずだ」というのが今回の総選挙で示された多くの国民感情なのではないか。
私どもとしては、あまり重い、大きな診療が必要ない方までが長期入院するということは、やはり理念としてはおかしいといつも主張しておりますけれども、重篤な患者さんについては、当然90日という枠にとらわれずに治療を続けられるべきだというふうに思っております。
▼ 別の話にいきなり飛んだ。
従いまして、ちょっと長くなりますが、結論としては今の形で残すべきではないかと思っておりますが、この(特定除外の)12項目ですか、これについてはちょっと私どもは専門家ではないので、この項目が良いのかどうかはちょっと判断しかねるんですけれども、西澤先生は「これでいいんじゃないか」というご意見でございますので、そうであれば私は西澤先生と同じ意見でございます。
[遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授、中医協会長)]
はい、分かりました。はい、西澤委員、どうぞ。
【目次】
P2 → 「後期高齢者に係る診療報酬」 ─ 4つの論点
P3 → 「論点が分かりづらい」 ─ 遠藤会長
P4 → 「75歳以上だけ厳しく退院を迫る制度は廃止すべき」 ─ 鈴木委員(診療側)
P5 → 「受け皿をつくらないと解消しない」 ─ 安達委員(診療側)
P6 → 「高齢者は独特の病状」 ─ 白川委員(支払側)
P7 → 「受け皿の心配は全くない」 ─ 西澤委員(診療側)
P8 → 「無意味に近い延命に医療資源を投入している」 ─ 邉見委員(診療側)
P9 → 「高齢者が亡くなるときは大往生、若い人と違う」 ─ 嘉山委員(診療側)
P10 → 「人権侵害があってはいけない」 ─ 勝村委員(支払側)
P11 → 「まともにやっている医師が被害」 ─ 嘉山委員(診療側)
P12 → 「家族も含めた医療を進めるため評価すべき」 ─ 勝村委員(支払側)