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ニュース〜医療の今がわかる

(新企画)村重直子の眼1 成松宏人・山形大特任准教授


成松
「不活化技術は、海外ではかなり導入が進んでますけれど、日本では昔から検討はされていて一進一退でなかなか進みません。慎重派の人たちは、不活化技術の安全性は不明確だと言います。たしかに安全性を追求してもし過ぎることはないと思いますけれど、追求するレベルはリスクとベネフィットによって、その時々のTPOでだいぶ変わってくると思うんですね。たとえば、インフルエンザが流行って、輸血が不足してしまうというような緊急事態の場合は、もっとリスクを取らざるを得ないのではないかと思います」

村重
「TPOによって、リスクとベネフィットのバランスが変わってくるということですね」

成松
「そう考えるべきなんじゃないかと思います。大事なのは、総合的に見て、どうしたら患者さんにとって最大限の利益を引き出せるかです」

村重
「輸血製剤が足りなくなったら、出血が止まらなくて亡くなってしまう人も出かねませんものね」

成松
「ただ、TPOに応じてリスクとベネフィットのバランスが変わるという考え方が、今までの日本にはなかったと思います」

村重
「新型インフルエンザが起きたことによって」

成松
「きっかけになりました。我々にとってよい教訓でした」

村重
「それを生かしていかないといけませんね。事前の審査での安全追求ももちろん大切ですけれど、100%の安全というのはあり得なくて、副作用はどこかで起きてしまうわけです。今までの技術より、安全性が高いというならメリットは大きいと思いますね」

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