村重直子の眼12 本田美和子・国立国際医療研究センター病院医長(下)
誌面連動企画の『村重直子の眼』。本田美和子医師の(下)です。
村重
「毎年改訂するのですね」
本田
「そうなんです。初版が出たのが2008年の冬、それが大体2万部くらい。去年の9月に改定版を出して、それも2万5千部くらい販売されたと聞いています。今回改訂について話し合ったとき、経年変化を記録できるようにしようという提案があって、本当にうれしかったですね。ぜひ、やりたいと思い続けてきたことでしたから。今回の大きなテーマは『経年変化を書きとめる』ということで、自分の生活や健康について、5年分の記録ができるようになっています。からだについての履歴書みたいに使っていただけるとうれしいなと思っています」
村重
「生活の中で気になった時に書きとめるということですか」
本田
「そうですね。この頃から便秘になったとか、ちょっとお腹が痛いような気がするとか、体重が減ったとか、何でもいいんです。からだにまつわる出来事を、いわゆる医者が書くカルテみたいに時系列で書いていただくページを設けました。それから、今は人間ドックを受ける機会がある方も多いので、健康診断の記録を書いておくページも5年分つくりました。がんなどを早めに見つけるための、スクリーニング検査の項目も、効果がすでに確立しているものを厳選して、リストアップしました。詳しく作っていけばいくらでもできるんですが......」
村重
「それじゃ分厚くなってしまうのですね」
本田
「そうなんです。きりがないので、たとえばがん検診では、検診の有効性が根拠をもって有効だと見なされている疾患にとどめました。また、感染症の検査についても、その人の今後の健康を大きく左右する可能性のある病気に絞りました。HIVとあとB型・C型肝炎などですね。あとは、これまで受けたワクチンの記録です」