村重直子の眼12 本田美和子・国立国際医療研究センター病院医長(下)
村重
「1冊おいくらかお聞きしてよろしいですか」
本田
「400円です」
村重
「じゃあ、家族の分も買って帰れますね」
本田
「私たちが思いもよらなかった使い方を工夫してくださった方もいらっしゃいます。先日聞いて驚いたのは、開業医の先生が、この健康手帳の裏表紙にご自分の診療所の受診カードをシールにして貼って、手帳全体を診察券にしてくださっている、というんです。急に具合の悪くなられた患者さんが、別の病院の救急外来などにいらっしゃる時に、万が一自分に連絡がつかなくても患者さんの情報を伝えられるように使うことにしたと伺いました。患者さんにも評判がいいとのことで、本当に嬉しく思いました」
村重
「確かにそうですよね。今の方たち、特に普段は健康であまり病院にかからない人たちは、その時々でどこにかかるかあまり深く考えずに、たまたま通りがかった所とか、勤めている場所から便利な所とか、以前かかった病院とは違う所を受診されるんでしょうけれど、実はこういう情報が全く分からないままなんですよね」
本田
「そうですね。もったいないですよね。近くの病院にいらっしゃるというのは全然問題じゃないので」
村重
「生活の中で気軽に行ける所へ行くのは当然ですし、それができるなら患者さんにとって良いことだと思いますが、必要な情報はなんとか伝わるようにしていただきたいですね。そのためにも健康手帳が役に立ちますね」