「医師が12.5万人不足」 ─ 本田宏氏の見解
■ 相対的には余っている部分も
[本田宏・済生会栗橋病院副院長]
今、日本人はほとんどの人が病院で亡くなる時代になりました。
世界最高の高齢化で病院で亡くなる人が増えている。つまり、病院で亡くなるということは、主治医がその方を看取るということがよくあるんですね。
ですから、昔は開業医の先生が看取っていたのに、今は勤務医が看取っているんですよ。そこまでやってるんです、夜中でも。呼ばれて......。これが日本の現状でございます。
皆さん、ご覧ください。昭和22年から平成16年までの疾患の増え方です。高齢者で肺炎も増えています。脳血管疾患はそれほど増えていないんですね。心疾患......。
これは亡くなる方です。病気の発生率ではないんです。悪性新生物、ご覧ください。ですので私も悩みなのは、開業医は......。
確かに相対的には余っている部分もあるんだと思います。ただ、外科というか、手術、麻酔、緩和ケア、腫瘍内科、そういう人が決定的に不足している。1人で何役もやっているんですね。
ですから、決定的に不足しているところをちゃんと暴いてそこに補填する。地域ごとに補填する。これをやらなければ、頭数を決めても何にもなりませんね......というのが私の持論でございます。
右下のグラフをご覧ください。推定患者数を考えないのは駄目。推定患者数と医療の質が伸びることを考えながら医師を増やさなければ......。
右下の埼玉県をご覧ください。将来、今よりも相対的に医師が不足するんですね。だから、とにかく推定患者数と医師。だから、もし左側のほう(東京、京都、福岡など)で、医師が余っていて必要ないという所はいいですよ、うちに回して。
先日、ある大学の先生に「医師を増やせと言うな」と言われたので、「じゃ、うちにください」って......。その先生はうちに人を回さないで「増やすな」って言うんですよ。おかしいでしょ?
研修医が一杯来る所の先生は必要だと思っていない先生も何人かいるんです。名前は言いませんけれども......。ということで、もうそろ時間で......。
ちょっと雰囲気が悪くなってきましたんで......。(傍聴席、笑い) もうちょっとご辛抱ください。
【目次】
P2 → 私にとって最初で最後の機会
P3 → 日本にはグランドデザインがない
P4 → 日本の医療はガラパゴス状態
P5 → 医療が進歩すると医者が必要
P6 → シンプルに計算すると12.5万人不足
P7 → 実働時間を確認しない調査
P8 → 救急、麻酔、がん関連医が不足
P9 → コメディカルをできるだけ増やして
P10 → 勤務医は1人でいろんな役割
P11 → 相対的には余っている部分も
P12 → 茨城、埼玉、千葉に医学部を