「医師が12.5万人不足」 ─ 本田宏氏の見解
■ 救急、麻酔、がん関連医が不足
[本田宏・済生会栗橋病院副院長]
ちなみに、「医師が多い」「少ない」って言いますけれど、専門医がポイントです。
これ(データ)はちょっと古いんですが、日本の場合には救急があまりにも少ない、人口当たり医師数が......。これはちょっと過去のデータですから、もう一度、新しいデータをできれば調べていただきたいと思いますが、欧米の10分の1。
ですから、先ほど言ったように、救急の非専門医が全国で救急を担当しているんです。地方では俗に言う「マイナー」という、ほとんど全身を診ない先生も救急をしているんですよ。
それで診られないと言って断ると、「たらい回し!」って言われるでしょ。最近はメディアの方もかなり分かったので、「たらい回し」じゃなくて、「受入不能だ」って言うようになりました。
私の話をよく納得して聴いてくれる方が、「確かにそう、たらい回しじゃないです、病院ではたらいなんか使ってないから、洗濯機だから......」なんて冗談で言っていますが......。(委員、傍聴席から笑い)
すんません、この場にそぐわないことをついつい調子こいて言っております。
麻酔科医不足の現状です。皆さんご存知のように当時のデータでは、院内に麻酔科医が常勤しているのは3~4割です。これ、ますい......マズイっすよね? (委員、傍聴席から笑い)
外科医が麻酔をかけてるのは当ったり前だのクラッカーでございます、日本は。これが先進国日本の医療ですよ、皆さん。
困っちゃうんですよね~、そろそろため息が出てきちゃうんですけれども、聴いているほうも辛いと思いますけれども、やってるほうもちょっと辛いんで、もうちょっと......。あと10分ぐらいお付き合いいただきたいと思います。
がん専門医の比較です。日本で「がん対策基本法」という法律を作りました。ところが、皆さんご存知のように、がん専門医がおりません。腫瘍内科医もおりません。放射線腫瘍医もおりません。
ないないない......。誰かの歌みたいな状況なんですよ。法律を作ったら、法律が治療してくれるんですか? 本当にちゃんと考えてやってほしいですね、と私は思っています。
ちなみに、このデータの試算によると、がん関連の専門医の数だけで8万3000人足りないですから......。先ほどの厚労省調査では2万4000人ですから......。もうめまいがしてきます。これが日本の実態でございます。
【目次】
P2 → 私にとって最初で最後の機会
P3 → 日本にはグランドデザインがない
P4 → 日本の医療はガラパゴス状態
P5 → 医療が進歩すると医者が必要
P6 → シンプルに計算すると12.5万人不足
P7 → 実働時間を確認しない調査
P8 → 救急、麻酔、がん関連医が不足
P9 → コメディカルをできるだけ増やして
P10 → 勤務医は1人でいろんな役割
P11 → 相対的には余っている部分も
P12 → 茨城、埼玉、千葉に医学部を