村重直子の眼17 小田知宏・発達わんぱく会理事長(上)
小田
「まずは、何のために療育するんだということなんですが、子どもの集中している時間に、その子どもの発達段階に応じた一番の課題を一緒にやっていくということのはずです。幼児なんで、そんなに長い時間、集中できないんですよ。15分とか30分とか。
でも世の中では、療育というと保育というか預かりの所が主流になっちゃっているので、療育と言いながら3時間4時間やってて。療育にかける時間は10分とか15分とかしかないんだけれど、長い時間がかかっちゃって回転率が悪くなってます。あとは、プログラムも事前に用意して、この子はこのタイプだからこのプログラムを使いましょうと、元々用意されたものを選ぶだけでいいようにします」
村重
「たくさんの種類を用意して、一人ひとりの子どもに合うものを選べるように、ということですか」
小田
「そうなれば事前に準備する時間も減るし、かつ療育を行った後に評価をしなければいけないんだけれども、評価の事項も決まっているので、評価の時間もかかりません。現状の療育というのは、1人の職員が経験と勘に基づいて考えながらやっているので、子どもと接するまでの準備に時間を取られていて、無駄な時間ができている。それも解消していきたい。
プログラムが出たついでで言うと、帳票のすごい多い業界で」
村重
「帳票というのは?」
小田
「紙で書くものですね。障害者自立支援法という法律に基づいてサービスを提供することになっていますし、療育の業界では伝統的に手で書いて、何度も何度も同じことを違う紙に書くというのが多いんですね」
村重
「それは全部、行政への報告書ですか」