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ニュース〜医療の今がわかる

医師不足対策に「医学部新設」も ─ 文科省素案

■ 「具体案を出さないといけない」 ─ 安西座長
 

[桑江千鶴子委員(都立多摩総合医療センター産婦人科部長)]
 (前略)医学部新設なんですけれども、私はですね、この委員会の委員のお話があった時に、ここである程度方向性を決めるということをおっしゃられていたので、そういう大事な会議ならばと思って一生懸命、必死になって出てきて、皆さんお忙しいところですね、大事なテーマについてお話しいただいてたと思うんですけれども。

 そして、最後に腰砕けになりそうだったのはですね(論点整理案の最後の一文)......。

いずれにせよ、現下の医師不足対策として、既存の定員増による対応と医学部新設による対応とのいずれがふさわしいのかについては、現時点では結論を出すには至らず、今後、国民的議論を深める必要がある。
 「今後、国民的議論を深める必要がある」というふうな、こういうことをここで書かれるんであれば、それでしたら、今この会議をやっている最中にですね、(傍聴席をチラッと見て)広く国民に意見を聴いてですね......。

 今までもいろんなことがあったと思うんですけれども、例えば医療事故等々ですね、あれもオフィッシャルな意見を皆さんに募っていただいて、いろんな意見の中である程度方向性が決まったということももちろんあると思うので、今これ、やはりもし本当に必要だということをどなたが言ったかということはちょっと記憶がないんですが、もしそういった議論が本当に必要だと思われるんでしたら、早速それはですね、広く意見を聴取していただきたいと思います。

 ある程度の方向性を決めるということが、やはりこの委員会の役目だろうと思って、皆さん責任感を持って発言されていると思うので、ちょっとこれに関しては変えていただきたい。

[安西祐一郎座長(慶應義塾学事顧問)]
 ありがとうございました。いろいろ貴重なご意見を頂いてまいりまして、私も一度、言わせていただければと思いますので、今申し上げます。多少、プロヴォカティブな言い方になるかと思いますけれども......。

 まず、医学部教育ですね、これについては大学医学部関係の先生がこの中に大変多くいらっしゃいますけれども、もっとしっかりしていただきたい。

 それぞれ、かなり、他の学部に比べれば、と言うんでしょうか、他の分野に比べれば相当の対応をして教育をやってもらっていると思いますが、やはり学生の出席率とかですね、あるいは国試対応と言いましょうか、ここの先生方の大学ではなく全国一般の医学部で言いますと、やはりもっともっと医学教育の充実は大事なことではないかなと個人的には思っております。

 もちろん財政的なこと、先ほど濱口先生が言われましたように大事なことだと思いますので、それも含めてぜひ充実させていかなければいけないのではないかと思います。

 その上で、「医師の数自体は充足しているんだ」と、「今、医学部の定員が増えていますのでこれからも増えていくんだ」とおっしゃるのであれば、やはり今の緊急の偏在をどういうふうに解消するのかということについて具体案を出していかないといけないと思うんですね。

 それについては、これまで何人かの委員の方からかなり具体的な案も出ておりまして、そういうことについてはもっと詰めて、特に地域の医療を過疎地、へき地をどうするのかということも含めた仕組みを提案していくというのでしょうか、そういうぐらいでないとなかなか総論的な偏在は......、「こういうふうにすれば解消できる」とおっしゃいますけれども、今まで解決されてないんですね。

 当たり前にこういう状況があるにもかかわらず解決されていないということは、行政も変わらなければいけないと思います。そういうことも含めて、ある程度具体的なことを言っていかないと、いつまで経っても......。

 私もそうですが、大学人というのは何となく総論ではこうすると言うんですけれども、具体的には世の中が変わらないということも多いので、そのことはやはり私も含めてかなり厳しく考えていかなければいけない......、いかないと、世間の期待に応えられないんじゃないかと思います。

 その一方で医学部新設等々、「とにかく医師を増やさないといけないんだ」とおっしゃる方におかれましてはやはり、「増えすぎてしまうのではないか」ということに対する疑問に答えていただく必要があると思うんですね。今増やせばとにかくなんとかなるという考え方だと、なかなか将来禍根を残すというふうに思います。

 両側に立って申し上げているように見えるかもしれませんが、やはりどうも......、問題点は出てくるんですけれども、具体的な方策になりますと、なかなかここまで皆様にお時間を使っていただいて大変貴重なご意見を頂きながら......。

 「プロヴォカティブな」と申し上げましたのは、私に対することも含めて、もっと具体的に国民に対して「こうだ」ということが言えるような、そういう論点にしていく必要があるんじゃないかということでございます。

 ちょっと申し上げ過ぎかもと思いますし、自分に対することも含めてのことでございますので、その点、ご寛容にお願いできればと思います。

 何度か......、先ほども(意見が)ありましたけれども、実際には若い医師の先生方に、「どこの地域に行けっ」ということを命令できないわけですよね? (文科省の村田課長がうなずく)

 それでいながら過疎地には行ってもらいたいわけで、ここの点を解決できる方策というのを何とか......、いろんな医療機関のネットワークとか大学がサポートするとか、いろんな形でつくっていかなければいけないわけですよね。その具体的な姿が、何人かの先生方がおっしゃってくださってはいるんですけれども、まだまだ本当にできるか......。行政の支援も必要だし、そういうことをきちっと考えていかないといけないんじゃないかということであります。

 一方で、新設云々につきましては、先ほど申し上げましたように、新設してからその後、本当に何年ごろにどうなっていくのかということについての具体的な話があんまりないんじゃないかな......。これ、個人的な主観で申し上げますけれども、そのように思いますので、両側のもっと具体的な案を出して......。

 最後に、「国民的議論」となっておりますのは、私は医学、医療の世界というのはどうしても閉じた専門家の中でなされる。これは当然で、専門家がやっぱり考えていくべきだと思います。

 ただし、国民の皆さんも勉強してもらいたい。やっぱり、ただただ足りないから増やすとか、ただただ余っているから要らないとか、そういうことじゃなくてもう少しきめ細かく勉強しながら、学びながらみんなで解決していく、そういう方向は特に医療の問題につきましては持っていてほしいなと、これも個人的になるかもしれませんが、そういうこともございまして......。

 当然、具体案を考えていくのはここでありますけれども、それを国民に問うということはやってもいいんじゃないかなというふうに思っております。あんまり生の、なんか、ワーっという所でもって国民にきくということはちょっと、この委員会の存在意義の問題になると思いますので、そういうことではございませんけれども、ある時点でもって国民に「こういうことで考えているけれどもどうか」ということは問うて然るべきではないかと思っております。

 ちょっと長くなりましたけれども、一応、申し上げさせていただきます。これは私自身に対する言葉も含めてということでございますので、ぜひご理解くださいますようお願い申し上げます。

 それでは、(終了予定)時間でございますので、特に......、今の私のことについてでも結構でございますけれども、何かございますでしょうか。

 (ヒアリングのため出席した生坂氏が挙手)

 どうぞ。
 

【目次】
 P2 → 「必要なリソースをちゃんと確保していく」 ─ 鈴木副大臣
 P3 → 「頂いた意見に少し肉付けしてまとめた」 ─ 文科省
 P4 → 「論点整理が議論の方向性を制限する」 ─ 中川委員
 P5 → 「東側の医師を増やすような方策が必要」 ─ 今井委員
 P6 → 「高齢医師に実戦力として期待できるか」 ─ 平井委員
 P7 → 「医療資源を再配分する仕組みが重要」 ─ 山本委員
 P8 → 「医科大学を増やしても10数年かかる」 ─ 栗原委員
 P9 → 「改革を最低限完全に生かすように」 ─ 濱口委員
 P10 → 「具体案を出さないといけない」 ─ 安西座長
 P11 → 「地方に行かせる強制力がない」 ─ 木場委員

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