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ニュース〜医療の今がわかる

医師不足対策に「医学部新設」も ─ 文科省素案

■ 「医科大学を増やしても10数年かかる」 ─ 栗原委員
 

[今井浩三委員(東京大学医科学研究所附属病院長)]
 平井委員のお話に非常に賛同するものでありまして、私も北海道の医科大学の学長を経験しておりまして、北海道も非常に広大な地域でございまして、医師派遣には大変苦労してまいりました。いまだにですね、うまくなかなかいかないという現状がございます。

 ドクターヘリとかいろいろな仕組みを使いまして、ある程度拠点化するとか、そこに支援するとか、北海道もいろいろな形で考えてくださるんですが、いかんせん十分にはいかないということがございまして、そういうことを実は10年も20年も繰り返しているわけで、そういう手段は個々、全国ですね、東北もそうでしょうし、いろんな所で行われているわけですね。

 にもかかわらず医師不足であるということから、この委員会がスタートしているというのが私の認識でして、ですからそこの......もちろん、工夫するのはこれからも非常に重要ではありますが、なかなかそれだけではうまくいかないということがあって出ている議論だというふうに理解しております。(中略)

 医師数は将来的には増えるわけですが、高齢の医師もどんどん増えますので、実質的にそこで働ける医師は皆さんが考えているほど、数字から割り出すほど多くはないのですよということが一点。

 それから、労働時間のことを考えないでいると、またいろんなところで問題が出る。例えば、救急医療にしても産婦人科にしても小児科にしても、当直をして翌日診療をしているというのが実態ですから、そういうことも解決していかないと日本の医療は良くならないという観点から私は申し上げているつもりでございます。

[栗原敏副座長(日本私立医科大学協会副会長、東京慈恵会医科大理事長・学長)]
 山本委員がご指摘のように、大学がすべて地域医療を解決できるとは思っていません。今ある医療資源、医療財源、これをいかに有効に使うかという仕組みをつくっていく。それに大学も......、何と言っても人材がいるわけですから、それに協力したい、そういう意味の発言でございます。

 確かに、医師は高齢化しておりますけれども、私も65歳なんですけれども、我々の時にはですね、団塊の世代でして人口はたくさんいましたが医師になれる比率は非常に少なかったんですね。大体、18歳人口700数十人に1人。今は間口が広がったんで、100数十人に1人ぐらいが医師になれる時代になったんです。

 ですから、そこら辺のことも考えていただいて、我々65歳が高齢になりますから確かに医療ニーズは高まります。しかし、それが過ぎるとですね、極端に人口の減少ということがありますので、そこら辺でまた大きな変革というのが出てくるんじゃないかという点をご理解いただければと思います。

[今井浩三委員(東京大学医科学研究所附属病院長)]
 2035年までは増え続けるんですね、医療ニーズは。つまり2035年というのは今から24年後ですから、そこまでは医療ニーズが増え続けるので、そのギャップをどうするのかということを議論しているわけですね。

[栗原敏副座長(日本私立医科大学協会副会長、東京慈恵会医科大理事長・学長)]
 もちろんそうで、ただ、今増やしてもこれから医科大学を増やして卒業しても、その人たちが一人前になって働くまでには10数年かかるわけですよ。ですから、喫緊の問題に対しては今増やしてもすぐには効果がないということを私は言っています。

 その間の10数年の間をなんとか乗り切る仕組みを今みんなで先に考えたほうがいいのではないでしょうかということです。

[安西祐一郎座長(慶應義塾学事顧問)]
 ありがとうございました。今日、ご発言のない方はいかがでしょうか? 

 (挙手なし)

 後で私も多少のことは言わせていただきます。(委員ら、笑い)

[濱口道成・副座長(名古屋大学総長)]
 はい。

[安西祐一郎座長(慶應義塾学事顧問)]
 どうぞ。

 
【目次】
 P2 → 「必要なリソースをちゃんと確保していく」 ─ 鈴木副大臣
 P3 → 「頂いた意見に少し肉付けしてまとめた」 ─ 文科省
 P4 → 「論点整理が議論の方向性を制限する」 ─ 中川委員
 P5 → 「東側の医師を増やすような方策が必要」 ─ 今井委員
 P6 → 「高齢医師に実戦力として期待できるか」 ─ 平井委員
 P7 → 「医療資源を再配分する仕組みが重要」 ─ 山本委員
 P8 → 「医科大学を増やしても10数年かかる」 ─ 栗原委員
 P9 → 「改革を最低限完全に生かすように」 ─ 濱口委員
 P10 → 「具体案を出さないといけない」 ─ 安西座長
 P11 → 「地方に行かせる強制力がない」 ─ 木場委員

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