医師不足対策に「医学部新設」も ─ 文科省素案
■ 「東側の医師を増やすような方策が必要」 ─ 今井委員
[今井浩三委員(東京大学医科学研究所附属病院長)]
内容に少し入らせていただきますが、今日の素案......、論点整理の12ページ、13ページに関係するところで意見を述べさせていただきたいと思います。(中略)
12ページの真ん中の所、「人口は今後減少するが、(病気が多くなる)65歳以上の人口は今後増加してくる」わけでございまして、これは非常に考慮すべきであるというのは私も申しましたし、それから多くの方が主張されている通りでございます。
これによってですね、医療ニーズというのは若い方もあるわけでございますが、65歳以上に特に多いのでそこの部分が大きいというお話を前にもさせていただきました。そこはたぶん20%か30%、病気によっては35%ぐらい増えるわけでございます。
一方ですね、医師数はどうかと言いますと、それはちょっとここ(論点整理)に書いていないんですが、確かに、少しずつ入学定員を増やしていただいて、恐らく増えてきているんですが、それはですね、入学の数というのは10%ぐらいですよね、今のところ......。
そういう数が増えると。つまり医師数は10%ぐらい増えるんですけれども、総体として見ると、だんだん医師も患者さんと同じように高齢化するわけでありまして、医師のほうも......。
つまり、患者を診る側もですね、高齢化していくということをですね、考慮に入れるべきであるということを私、この間申し上げました。ですから実際には、60歳以下ぐらいの医師ですね、非常にビビッドに患者さんを診れる医師の数はそんなに増えないですね、この方式でいくと。そこのギャップというものをですね、非常に感じますので、そこが1つ、どこかに書いておいていただきたいと思います。
もう1つは東西格差と言いましょうか、場所によって、特に歴史的にも西側は比較的、医学部が多いんですが、東側ですね。埼玉とか茨城、千葉も含めてですね、東北地方はもちろんですが、北海道、そういった所は明らかに医学部の数も少ない。それによってですね、非常にこう、西側に比べますとまばらな形になっている。これが現状だと思うんですね。
特に、こういう震災が起きたりしますと、非常にそれが顕著に出まして、特に東北地方では大変な状況になっているということがございまして、そういうことを将来にわたって考えていくのでしたら、やはり東側の医師を増やすような方策をですね、今後必要なのではないかというふうに思います。
それからもう1つですね、すみません、これで最後なんですが、医師の労働時間が非常に長いわけですね。たぶん、若い人だと70時間とか80時間とか、非常に過重労働。それを前提にしていろいろなことが......、そのまま行ったらということで考えられているんですが、これを是正しなければいけない。
これを是正するということはすなわち、医師数をですね、増やさなければなかなか是正できないわけで、そういう観点もですね、ぜひ採り入れていただきたいと思います。(中略) 女性医師に十分働いていただける環境をつくるのは非常に重要なんですが、間違いなく女性医師も次々に増えてまいりますので、そこのことも今後考慮に入れる必要があると考えます。以上でございます。
[安西祐一郎座長(慶應義塾学事顧問)]
ありがとうございました。(中略)
【目次】
P2 → 「必要なリソースをちゃんと確保していく」 ─ 鈴木副大臣
P3 → 「頂いた意見に少し肉付けしてまとめた」 ─ 文科省
P4 → 「論点整理が議論の方向性を制限する」 ─ 中川委員
P5 → 「東側の医師を増やすような方策が必要」 ─ 今井委員
P6 → 「高齢医師に実戦力として期待できるか」 ─ 平井委員
P7 → 「医療資源を再配分する仕組みが重要」 ─ 山本委員
P8 → 「医科大学を増やしても10数年かかる」 ─ 栗原委員
P9 → 「改革を最低限完全に生かすように」 ─ 濱口委員
P10 → 「具体案を出さないといけない」 ─ 安西座長
P11 → 「地方に行かせる強制力がない」 ─ 木場委員
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